天下繚乱RPGシナリオ「銀河邪神剣」
著:氏家靖博 監修:小太刀右京


シナリオ・データ

プレイヤー:5人
PCレベル:3〜5レベル
プレイ時間:4〜5時間


シナリオ背景

 幕府転覆を企む公卿、西園寺兼嗣(さいおんじ・かねつぐ)はその目的を果たすため、異国から来た盗賊の少女、リナを京都所司代(きょうとしょしだい)の兵に捕らえさせ、みずからの屋敷に監禁する。
 リナは部族に伝わる星の神の巫女で、西園寺は復活させた陰陽道の秘宝によって星の神を蘇らせ、その力によって倒幕を行なおうとしている。その陰謀に気付いたシャーロック・ホームズは西園寺の犯罪を立証しようとするが、その背後にあるモリアーティ教授の陰謀とお互いに牽制し合うため、身動きが取れなくなってしまう。
 PCたちが西園寺の犯罪を立証し、星の神を阻止することでシナリオは終了となる。


今回予告

 少女は北の果て、日本という国に楽園があると聞いた。
 だが楽園で彼女を待っていたのは、幕府転覆を企む公卿(くぎょう)、西園寺兼嗣の邪悪な陰謀だった。
 邪神の生け贄として捕らえられた少女を奪還せんとする英傑一行の前に、西園寺の強大な権力が壁となって立ちふさがる。果たして英傑たちは邪神復活を阻止することができるのか。空海(くうかい)の遺した魔術書『星辰経典(せいしんきょうてん)』の謎とは。
 天下繚乱RPG『銀河邪神剣』
 百花繚乱綾錦、いざ開幕!

キャラクター作成

 今回予告を読み上げた後、次ページのハンドアウトをコピーして切り離し、各プレイヤーに配布せよ。どのプレイヤーにハンドアウトを渡すかは、GMの任意にしてもよいし、プレイヤー間で選択させてもよい。プレイヤーの人数が少ない時は、若い番号のものを優先すること。

●ハンドアウト
 ハンドアウトには、各PCによって異なる事前情報と、シナリオによってPCに与えられる因縁が記載されている。
 今回予告を読み上げたのち、GMは下のシナリオハンドアウトの内容を読み上げて、各プレイヤーに配ること。その後、ハンドアウトに沿ってPCを作成してもらうとよい。

●クイックスタート
 プレイヤーが『天下繚乱』を初めて遊ぶ場合や、ルールブックを持っていないならクィックスタートでキャラクター作成を行うとよい。
 本シナリオでは以下の5つのサンプルキャラクターをクィックスタートで使用することを推奨する。

PC1: 流浪の剣客(『天下繚乱』P52)
PC2: 鋼鉄姫(『京洛夢幻』P32)
PC3: 大天狗の孫(『京洛夢幻』P30)
PC4: 仏罰の代行者(『京洛夢幻』P28)
PC5: 異国の使徒(『天下繚乱』P68)

●PC2を作成する時の注意
 今回のシナリオは、PCが水戸黄門、あるいはそれに準じるキャラクターであることを前提にしたシナリオである。従って、日本の権力者でない(例、アメリカ大統領、ローマ法王)キャラクターや、あらゆる権力を超越したキャラクター(例、神、仏)はふさわしくない。
 権力の壁に阻まれた相手を倒すシナリオである、という趣旨をあらかじめプレイヤーに解説し、そこに協力的なプレイヤーにPC2を振るよう注意すること。その上で、コンストラクションの場合でもPC2は天下人のクラスを有していることが望ましい。

●PC間コネクション
 キャラクター作成後に、プレイヤーにPCの自己紹介をしてもらおう。その後PC間のコネクションを決定すること。PC間コネクションの結び方は以下のとおり。
PC1→PC2→PC3→PC4→PC5→PC1

●シナリオハンドアウト
 各PCには以下の設定がつくので、キャラクター作成の時によくプレイヤーと相談すること。
PC1:放浪の武士である
PC2:放浪の天下人である
PC3:ホームズの友人
PC4:八葉衆である
PC5:アメリカ海軍情報部である


銀河邪神剣:PC1用ハンドアウト
コネクション:リナ  関係:庇護
クィックスタート:流浪の剣客 カバー:指定なし
 ひょんなことから、キミは京都代官所の役人に追われている少女、リナを助けた。聞けば彼女は流民の子供たちを食べさせるため、仕方なく盗みを働いては、その金を子供たちに分け与えている義賊なのだという。なぜそんなことをするのか、と問うキミに、リナは自分もはるか南海からやってきた流民で、この国の人に助けられた。その礼だ、と言った。だが、リナは子供たちを人質にされ、代官所に捕らわれてしまった。なんとしても彼女を救わねば。

銀河邪神剣:PC2用ハンドアウト
コネクション:西園寺兼嗣(さいおんじ・かねつぐ)  関係:疑惑
クィックスタート:鋼鉄姫  カバー:指定なし
 気ままな旅を楽しむキミは、京の都にやってきた。だが、人々の顔は一様に暗い。町奉行が中納言(ちゅうなごん)、西園寺兼嗣と結び、微罪で人々をしょっ引いてはその財産を没収しているというのだ。キミはさっそく西園寺を訪ねたが、畏れ多くも朝廷の中納言を務める西園寺を正面から糾弾することは、いくらキミの権力でも難しい。なんとか証拠を集めねばならぬ。

銀河邪神剣:PC3用ハンドアウト
コネクション:シャーロック・ホームズ  関係:友人
クィックスタート:大天狗の孫 カバー:指定なし
 キミは英国よりやってきた名探偵、シャーロック・ホームズの友人だ。京都を訪れた彼とひさしぶりに再会したキミは、彼にひとつの依頼をされる。京都の権力者、西園寺兼嗣が不正な手段で金を集めているのは、ただならぬ犯罪のためではないかというのだ。本来ならば彼自身が調査したいのだが、そうすれば彼の宿敵、森脇なる男の罠にはまってしまうらしい。キミはふたつ返事で、ホームズの依頼を引き受けた。

銀河邪神剣:PC4用ハンドアウト
コネクション:天雷  関係:同志
クィックスタート:仏罰の代行者 カバー:僧侶
 キミは八葉衆(はちようしゅう)、妖異を討つために仏教諸派が結成した秘密部隊のエージェントだ。今日もキミに、八葉衆最高幹部、八葉羅漢(はちようらかん)のひとりである天雷から指令が飛ぶ。高野山より、かつて弘法大師空海が記した星を操る奥義書「星辰経典(せいしんきょうてん)」が盗み出されたのだ。賊は京都のさる公家の手の物らしい。キミは密命を受け、京へと飛んだ。

銀河邪神剣:PC5用ハンドアウト

コネクション:クラウニンシールド  関係:忠誠
クィックスタート:異国の使徒 カバー:指定なし
 キミはアメリカ海軍の秘密情報部員だ。今日もキミでしか解決できない事件がやってきた。聞けば、イースター島沖でアメリカ艦隊が謎の怪物によって壊滅したという。怪物は星の世界から降下した名状しがたい存在だったらしい。そして怪物は流星となってはるか北西、日本へと向かったという。最新の艦隊を壊滅させるほどの怪物とは何か。それを調査するのが今日のキミの任務だ。さっそくキミは、流星が墜ちたという京の都に潜入した。


オープニングフェイズ

 オープニングではシーンプレイヤー以外は登場不可とする。

●シーン1:星の神、胎動
シーンプレイヤー:PC5
◆解説
 PC5がクラウニンシールドから依頼を受けるシーン。クラウニンシールドは第七艦隊壊滅の報を受け、エージェントであるPC@を呼び出した。
▼描写
 ワシントンD.C。
 アメリカ合衆国海軍長官、クラウニンシールドの執務室。キミは長官直々に呼びだされ、ここを訪ねてきていた。キミが入るとクラウニンシールドは魔導書を繰る手を止め、話し出した。
▼セリフ:クラウニンシールド
「よく来てくれた、PC5」
「一大事だ。イースター島沖で、アメリカ合衆国第七艦隊が壊滅した」
「壊滅させたのは未知の妖異。星の彼方から飛来した――名状しがたき怪物だ。信じられないかもしれんが、厳然たる事実なのだよ」
「奴は流星となりはるか北西、日本へと向かった。そこまではつかめている」
「PC5に命ずる。日本に潜入し、かの怪物の正体を掴むのだ。そして可能なら、滅ぼしたまえ」
「キミでなくては不可能な任務だ。頼んだぞ」
(PC5が退出した後)「『其は永久に横たわる死者にあらねど、測りしれざる永劫のもとに死を超ゆるもの』――”奴ら”の目覚めだけは、防がねばならん」
◆結末
 PC5に【宿星:星の怪物の正体を突き止める】を渡し、シーン終了。

●シーン2:奪われた魔書
シーンプレイヤー:PC4
◆解説
 PC4が天雷から「星辰経典」を奪い返す依頼を受けるシーン。
 天雷は星辰経典をここまで追ってきたが、敵の狙撃を受けて重傷を負い、エキストラとなっている。
▼描写
 四条河原(しじょうかわら)の芝居街。
 キミがここに来たのは、天雷から連絡を受けたからだ。待つことしばし、河原の芝居小屋から天雷が出てきた。
▼セリフ:天雷
「来たか、PC4」
「い、いや、芝居を見に来たわけではない。京の噂を集めるならここに限るからな――本当だぞ」
「『星辰経典』が奪われた」
「お前も聞いたことがあるだろう。かつて弘法大師空海が記した、星を意のままに操る奥義書だ。高野山深くに蔵される秘書中の秘書だな。私も実見したのは一度だけだ」
「それを賊に奪われるとはな。まったく、高野山もたるんでいる」
「賊は公家の手のもののようだ。本来ならお前ほどの手練を動かす必要はないが、『星辰経典』となれば失敗は許されない」
「それに――星の動きがどうにも妙だ。何か、信じがたいことが起こっているのかもしれない」
「本来なら私も追跡に加わるべきだが……(腹を押さえる)経典がこの京に運び込まれたのを知ったところで、狙撃を受けてこのザマだ。それに、私は奴らにもう面が割れてしまっている」
「頼んだぞ。私はもう少し芝居を――いや何でもない」
◆結末
 PC4に【宿星:星辰経典を取り戻す】を渡しシーン終了。


●シーン3:名探偵、京都へ
シーンプレイヤー:PC3
◆解説
 PC3がシャーロック・ホームズから西園寺兼嗣の調査依頼を受けるシーン。場所は一条戻橋となっているが、PC3の設定に応じて変更するとよい。
 なお、ホームズが京都に滞在している理由は、近刊予定の『妖異暗躍譚』シリーズで語られることとなる。
▼描写
 京都、一条戻橋(いちじょうもどりばし)。いつもなら妖怪の気配に満ちたここが、今日はやけに静かだ。それは、橋のたもとにたたずむキミの友人のせいだろう。英国最高の名探偵――シャーロック・ホームズがキミを待っていた。
▼セリフ:ホームズ
「久しぶりだね、PC3くん」
「キミを呼んだのは他でもない、少々頼みたいことがあってね」
「西園寺兼嗣という貴族――この国では公家と言うのだったかな、彼が不正に財を集めているのだよ。どうも、倒幕を考えているようだ」
「それ自体はどうでもいい。公家の蓄財にも陰謀にも興味はない。ただ、ね――」(パイプをくわえなおす)
「僕のみるところ、森脇が糸を引いている。彼は英国最大の、いや、世界最大の犯罪者。僕の宿敵だ。奴が関わっているとなれば、見過ごすわけにはいかない」
「森脇のことだ。僕が動くことは計算に入れているだろう。逆に言えば、僕が何もしなければ彼もこれ以上の手は打てない」
「そこでキミの出番だ。僕に代わって西園寺のことを調べほしい。森脇が関わっている以上、捨ておいてはこの都、いや、この国が危ういのだよ」
「期待しているよ、PC3くん」
◆結末
 PC3に【宿星:西園寺兼嗣の陰謀を突き止める】を渡しシーン終了。

●シーン4:暗雲の都
シーンプレイヤー:PC2
◆解説
 PC2が西園寺の横暴を知るシーン。なお、西園寺自身の登場はミドルフェイズ以降となる。これは、シーン4の開始時に解説してしまうとよいだろう。
 登場する同心はエキストラである。演出で倒してしまって構わないし、それによって不利益を受けることもない。これはPCに説明すること。
▼描写
 天下人たるキミは、素性を隠した旅で京都にやって来た。言わずとしれた花の都だ。だが、人々の顔は暗く、都は重い気配に満ちている。疑念を抱いたキミが見たのは、旅籠の主を無理に連れ去ろうとする奉行所同心たちの姿だった。
▼セリフ:同心と旅籠の主
(主に向かって)「ほら、来い! 貴様が無法に荒稼ぎをしているのはわかっているのだ」
「わ、私めは何も……それに、無法なのはあなた方では……」
「つべこべ言うな! ここで斬り捨てても良いのだぞ」
「何だ、このじじい! 邪魔をするなら貴様から引っ立ててくれる!」
▼セリフ:旅籠の主
「どこのどなたかは存じませぬが、ありがとうございます」
「今の京は地獄です。奉行所はある事ない事をでっちあげ、町人商人を捕らえて蓄えを奪う。抵抗すれば牢屋行きでございますよ」
「奉行所の後ろには中納言・西園寺兼嗣様が付いているそうでございます。我々庶民ではどうすることも出来ませぬ」
「このままでは、京を出るか、首をくくるかしかございませんなあ……」
「……ああ、申し訳ございません。お客様にする話ではありませんでした。すぐにお部屋をご用意いたします」
◆結末
 PC2に【宿星:西園寺兼嗣に裁きを下す】を渡しシーン終了。


●シーン5:南から来た少女
シーンプレイヤー:PC1
◆解説
 PC1がリナと出逢うシーン。リナは京都の西に広がる、地図に記されることのない流民の街に住んでいる。
▼描写
 キミは、京都代官所の役人に追われていた。共に走るのは一人の少女。褐色の肌と黒髪、そして鮮やかな碧眼が印象的だ。キミは役人に絡まれていた彼女を助け、追われる羽目になったのだ。少女はキミを見上げ、にぱりと笑う。
▼セリフ:少女
「ごめんねー、お兄さん(お姉さん)、巻き込んじゃって」
(絡まれていた理由を聞かれて)「あはは、奉行所からお金をちょっと、ね」
「だってあいつら、町の人を捕まえて、お金を巻き上げてるんだよ。返してあげないと。それに、あたしにも必要だし……」
(必要な理由を問われて)「知ってる? この町って、他の国から来た子供がたくさんいるんだ。流民、っていうらしいよ」
「子供たちだけじゃ暮らせないし、誰かが何かしないとね。」
「あたしもそうなんだ。南の方から来て……この国の人は親切で、いろいろ助けてもらった。だから、あたしも子供たちを助けるんだ」
「……やっぱり、あたしを奉行所に連れてく?」
「ありがと! あたしはリナ。よろしくね、お兄さん」
▼描写2
 あれから数日。キミは何となく、リナが面倒を見ている流民たちの街に住んでいた。人々の暮らしは貧しいが、彼らの目には、いつかやってくる希望を信じる輝きが満ちていた。
 そんなとき、見覚えのある子供がキミを訪ねてきた。確か、リナの養っている子供の一人だ。真っ赤な、泣きはらしたような目をしている。
▼セリフ:子供
「リナ姉ちゃんが連れてかれちまった!」
「奉行所の奴らが来たんだ。逃げようとしたんだけど、付いてこないとおれ達を殺すって言われて……それで……」(泣き出す)
「頼むよ、姉ちゃんを助けてよ!」
◆結末
 PC1がリナを救い出すことを決めたらシーンエンド。【宿星:リナを救い出す】を渡すこと。


●シーン6:悪党どもの夜
シーンプレイヤー:なし
◆解説
 マスターシーン。西園寺兼嗣と町奉行が密談するシーンである。PCは登場不可。
▼描写
 祇園の奥、贅を尽くした茶屋で二人の男が差し向かいになっている。一人は頬のたるんだ肥満漢、もう一人は白塗りお歯黒の公家だ。京都東町奉行・水野勝久と中納言・西園寺兼嗣である。
▼セリフ:水野勝久と西園寺兼嗣
「中納言様、どうぞお納めください」
「ほ、良き心がけじゃ。お主の働きには麿も感謝しておるぞ」
「勿体ないお言葉。例の件が成った折には、この私めも……」
「良い良い、わかっておる。お主を追いやった幕閣どもを見返してやるがよかろう。して、あの娘はどうなったのじゃ?」
「既に捕らえてございます。あとは星が満ちるを待つのみかと」
「良い良い。ようやく、我ら公家の悲願が叶うのじゃな」
「ところで中納言様。あの娘、なかなか美しゅうございますな」
「少々幼いが、それもまた良い。儀式がすんだ暁には、麿が存分に可愛がってくれようぞ」
「お好きですなあ、中納言様」
「お主もの」
◆結末
 二人の笑いが響きわたり、シーンエンド。


ミドルフェイズ

●シーン7:麿の屋敷
シーンプレイヤー:PC2
◆解説
 PC2が西園寺の屋敷を訪ねるシーン。登場難易度は8。
 西園寺の権勢を伝え、この段階では《一件落着》で断罪できないことを伝えるためのシーンである。
▼描写
 京都御所、外縁部。公家の屋敷が建ち並ぶ一角に西園寺の屋敷はあった。豪壮を極めた、華美といってもいい造りだ。公家にしては豊かすぎるとすら思える。キミたちを認めた門番が、険しい顔で棒を構えた
 キミたちが門番と押し問答をしていると、ゆっくりと門が開いた。出てきたのは白塗りにお歯黒、典型的な公家姿の男だ。どうやら彼が西園寺兼嗣らしい。
▼セリフ:西園寺
「何の騒ぎでおじゃるか?」
「失せよ、町民。ここは貴様のような下賤の者が来て良い所ではないでおじゃる」
「いや、たとえ町民でなくとも、武士であろうと商人であろうと、帝に仕える麿には手が出せぬのでおじゃるぞ。麿は慈悲深い。さあ、帰れ帰れ」
「立ち去らねばどうなるか……わかっておろうな?」
◆結末
 正面から屋敷に入るのは無理そうだということを伝え、シーンを終了すること。

●シーン8:動き出す妖異
シーンプレイヤー:PC1
◆解説
 PC1が羅刹化した岡っ引きに襲撃されるシーン。登場難易度は8。このシーンまでにPCが合流することを推奨する。
▼描写
 キミはリナを探し、京の都を歩いていた。気づけばたどり着いたのは、中納言・西園寺兼嗣の屋敷近く。いつの間にかこんな所まで来てしまったらしい。
 そんなキミに声をかけてきた者がいる。どうやら奉行所の岡っ引きのようだが――どうにも様子が妙だ。
▼セリフ:岡っ引き
「あんた、PC1さんだね」
「そうだろうそうだろう。で、リナってお嬢さんのお友達だ。間違いないよな?」
「俺かい? 見ての通りの岡っ引きさ。ちょいとあんたに用事があってね」
(岡っ引きの服が破れ、頭に角が生える)「お奉行が言うもんでね……あんたには死んでもらうぜえ!」
◆解説2
 戦闘になる。PCたちは1つのエンゲージ、5m離れたところに下級羅刹×3が配置される。
◆結末
 敵を倒したらシーン終了。


●シーン9:情報収集シーン
シーンプレイヤー:PC5
◆解説
 情報収集シーン。以下の情報を収集する。判定は基本的に【理知】を用いる。カッコ内が情報を得るための難易度である。
▼星辰経典(難易度:10)
 弘法大師空海が遺した秘伝書。この世ならぬ智が記されており、読む者を狂気に誘うとされる。これをもってすれば星の怪物すら制御出来ると空海は考えていた。八葉宗が守護していたが、現在は西園寺兼嗣に奪われている。
▼リナ(難易度:10)
 遙か南方の島(今で言うポナペ近辺)から渡ってきた少女。悪徳奉行や悪徳商人から財を盗み、流民の子供たちを養っている。「星の巫女」という力を持つがゆえに、西園寺兼嗣の別荘に捕らわれている。
▼星の怪物(難易度:12)
 天空の遙か彼方から飛来した妖異。「神」の一柱ともされる。タコとイカを混ぜ合わせ、触手を無数に生やしたような外見をしている。イースター島沖でアメリカ艦隊を全滅させた後、流星と化して京都に落ちた。落下地点は西園寺兼嗣の別荘である。
 なお、過去にも同種の存在が飛来したことがあるという。
▼西園寺兼嗣(難易度:10)
 西園寺家当主。従三位中納言という要職にありながら、自らの欲望にのみ忠実な男。その性は狡猾にして好色、強きを助け弱きをくじく、まさに悪徳公家の中の悪徳公家である。現在は出世コースから外れた奉行・水野勝久を手足としている。
 選民思想の持ち主であり、公家こそが日本を支配すべきと考えている。そのため公儀を強く憎んでおり、星からの怪物の力を手に入れて倒幕を行おうとしている。
◆解説2
上記四項目を調べると、次の情報収集が行える。
▼星の巫女(難易度:12)
 過去地上に降り立った星の怪物、その眷属たる一族の血を強く引く人物のこと。星の巫女を生け贄に捧げることによって、星の怪物は完全なる復活を遂げることになる。現在の所、リナが唯一の適格者である。
▼西園寺の別荘(難易度:12)
 鞍馬山に位置する屋敷。星の怪物が落下したことによって、土御門すらも干渉できない力で覆われている。リナはここに捕らわれている。京都町外れの古寺から地下通路が延びており、屋敷の地下に潜入することが出来る。

●シーン10:古刹と探偵
シーンプレイヤー:PC4
◆解説
 西園寺の別荘に向かうシーン。PCたちは自動登場。
▼描写
 キミたちは西園寺の別荘に潜入すべく、町外れの古刹に来ていた。住職も檀家もない、名前すら忘れられた廃寺だ。
 こけむした石段を登り、腐れた門をくぐる。朽ち果てた境内で、下弦の月がコートにパイプの男を照らし出している――ホームズだ。
▼セリフ:ホームズ
「やあ、PC4くん。君たちがこの時間、この場所に来るのはわかっていたよ」
(なぜわかったのか)「初歩的な推理だよ、PC4くん」
「動けないなりに探ってみた。西園寺卿の「儀式」とやらは、今夜零時には始まるようだ」
「あまり時間がない。急いだ方がいいだろう。堂内の菩薩像の下に、奇妙な空間がある。おそらく、そこが隠し通路だろうね」
「僕に出来るのはここまでだ。後は任せたよ」
◆解説2
 ホームズの言葉に従い菩薩像を動かすことで、寺の仕掛けを起動することが出来る。
▼描写2
 堂内には菩薩像が並んでいた。漆黒の木壇で掘られた、奇妙な菩薩像だ。その首を回すと、菩薩の眼が赤く光る。轟音と共に堂の床が開き、地下への石段が姿を現した。
◆結末
 地下道に侵入したらシーン終了。


●シーン11:京の地下迷宮
シーンプレイヤー:PC5
◆解説
 地下道を進むシーン。全員登場。
 地下道には壁の両側から矢が飛び出す罠が仕掛けられている。【知覚】難易度12の判定を行ない、全員が失敗した場合、それぞれのPCに対して【命中値】12、〈刺〉5D6点の物理攻撃が行なわれる。この攻撃は範囲に対するものとして扱い、PCたちはひとつのエンゲージとして扱う。
▼描写
 地下道は暗かった。長く使われていないのだろう、石の通路はそこかしこが痛んでいる。こけむした壁は湿気ており、悪臭を漂わせていた。闇の奥から、妖異の気配が漂ってくるかのようだ。
 キミたちは、油断なくあたりに目を配りながら進んでいく。
◆結末
 別荘の地下へとたどり着いたらシーンエンド。

●シーン12:再会
シーンプレイヤー:PC1
◆解説
 リナを救出するシーン。全員登場。
▼描写
 地下通路を通ることで、キミたちは苦もなく座敷牢に入ることができた。
 牢屋は座敷牢だった。その奥、膝を抱えているのは見慣れない衣装をまとったリナだ。彼女はキミを認めると、泣き笑いの笑顔で飛びついてくる。
▼セリフ:リナ
「お兄さん(お姉さん)、来てくれたんだ!」
「怖かったぁ……もうすぐ連れてかれるとこだったんだよ。生け贄とか、星の神とか、よくわからないこと言ってた」
「あ、生け贄はわかるよ。あたしと一緒にいた子たち、みんな連れていかれて、帰ってこなかったから……」
「隣の牢屋の子なんて、あたしの目の前で……」(うつむく)
「あの西園寺って奴、許せない。行こう、PC1! あいつら、この上にいるよ!」
◆結末
 リナの証言があれば、西園寺の犯罪を立証することが出来るだろう。この時点で、西園寺を《一件落着》で糾弾できるようになる。このことはプレイヤーに解説すること。
 別荘へと向かい、シーンエンド。クライマックスフェイズに移行する。


クライマックスフェイズ

●シーン13:英傑犯科帳

シーンプレイヤー:PC2
◆解説
 西園寺兼嗣たちとの決戦シーン。全員登場。
 戦闘となる。PCたちは一つのエンゲージ、5m離れて水野と西園寺のエンゲージ、同じく5m離れて武士×2のエンゲージが一つ配置される。
 なお、《一件落着》を使用した場合、西園寺が戦闘不能になった時点で戦闘は終了する。これは戦闘開始時に説明すること(戦闘中に《一件落着》を使う場合メジャーアクションが必要なのに注意)。
▼描写
 西園寺兼嗣、別荘。金銀が繚乱する一室で、西園寺と水野が酒を酌み交わしている。二人とも上機嫌だ。
▼セリフ:西園寺と水野
「いよいよですな、中納言様」
「うむ。ついに時が来たのじゃ。公家を嘲った罪、麿を侮った罪、幕府の愚者どもに思い知らせてやろうぞ」
「中納言様が公家の世を取り戻した暁には、この私も……」
「わかっておる。お主は我が一族に取り立ててやろうぞ」
「ありがたき幸せ。では私はそろそろ、例の娘を……む、何奴!?」
▼描写2
 乗り込んできたキミたちをみて、水野はギョッとした顔になる。一方の西園寺は悠然としたものだ。キミたちをねめつけて、言う「麿の屋敷を汚すとは、東夷(とうい)らしい下劣な振る舞い。貴様ら狼藉者には死がふさわしい。ものども、出会えやれ!」
▼セリフ:水野
(PC2が《世を忍ぶ仮の姿》を解除した)「バ、バカな。あなた様は……」
「ええい、あのお方がこんな所におられるはずはない。斬れ、斬り捨てい!」
「南蛮渡来のピストルの力を見せてやる!」
▼セリフ:西園寺兼嗣
(PC2が《世を忍ぶ仮の姿》を解除した)「黙りや! 麿を誰と思うておる! おそれ多くも帝より位を承りし従三位中納言・西園寺兼嗣じゃ。麿は帝の臣下であって徳川の家来ではない!」
(リナの姿を認めて)「なに、あの小娘……ええい、こうなっては仕方あるまい。皆殺しじゃ!」
「麿をただの公家となめるなよ! 公家には公家の剣術があるのじゃ!」
(倒された)「まだじゃ。まだ麿は諦めぬぞ!」
◆結末
 戦闘が終了すると、西園寺は『星辰経典』を取り出し、中庭に投げ捨てる。途端、大地が鳴動し、うごめき始めた。奴が、星の怪物がついに目覚めようとしている。
 PC全員に【宿星:星の怪物を止める】を渡し、シーン終了。


●シーン14:永劫のもとに死を越ゆるもの
シーンプレイヤー:PC1
◆解説
 目覚めた星の怪物と戦うシーン。PCたちはひとつのエンゲージ、そこから10m離れた場所に星の怪物が配置される。
 星の怪物は、本来ならこのレベルのPCが戦えるような存在ではないが、リナを生け贄にできなかったことで、完全復活を遂げていない。そして、巫女であるリナの祈りによって、その力は大きく減じられる。データはそれを踏まえたものである。
▼描写
 大地が唸る。
 空が鳴動する。
 何処かより飛来した暗雲、響き渡る雷鳴。
 中庭が、否、屋敷そのものが変容してゆく。
 変幻自在にうごめく寒天状の体。
 うねうねと蠢く無数の触手。
 そして、キミたちを凝視する、巨大な瞳。
 天空の彼方より飛来せし、名状しがたき怪異。巨大にして怪異なそれが、人ならぬ声で吠えた。キミたちの頭に、直接声が響いてくる。
▼セリフ:星の怪物
「眠りを……我が眠りを妨げる者は誰だ……」
「我が名はΠθΛαΩα(発音出来ない)。死を越え、永劫を越え、時空と星辰の彼方に君臨するものなり」
「我は目覚めた。星辰はやがて正しき位置に揃い、我らが父を水底より呼び戻すであろう」
(倒された)「父上……」
▼セリフ:リナ
「あいつが……星の神! ううん、妖異!」
「大丈夫だよ! あいつ、まだ完全じゃない! あたしを生け贄にできなかったから、西園寺の怨念だけで顕現してる! ちょっとだけなら、あたしが押さえておけるはず……」
「がんばって、みんな……!」
◆結末
 戦闘が終了すると、星の怪物は崩壊する。後には悪臭を放つどろどろの液体が残るだけだ。シーン終了。


エンディングフェイズ

 以下のエンディングを想定している。
PC1:リナと会話。または、後日また追われているリナを助ける。
PC2:西園寺に裁きを下す。
PC3:ホームズに事件を報告する。
PC4:天雷と会話する。
PC5:クラウニンシールドに結果を報告する。

エネミーのレベルの合計は(奥義も含めて)50。経験点計算に反映させること。


エネミーデータ

■西園寺

◆データ
種別:人間 レベル:4 サイズ:1
体:18/+6 反:15/+5 知:12/+4
理:12/+4 意:12/+4 幸:9/+3
命:7 回:6 魔:5 抗:6
行:8 HP:32 MP:20
攻:〈刀〉+10/物理
対:単  射:至近
防:斬3/刺2/殴3
《大斬り》《範囲攻撃》《集団統率》
・【命中値】判定のクリティカル値11

・《範囲攻撃》
タイミング:マイナーアクション
解説:直後のメジャーアクションの対象を範囲(選択)にする。

・《大斬り》
タイミング:メジャーアクション
代償:2MP
解説:ダメージロール+1D6して攻撃。

・《集団統率》
タイミング:セットアップ
解説:部下の武士を即時行動させる。

◆奥義
□剣禅一如 □疾風怒濤 □秋霜烈日

■水野
◆データ
種別:人間 レベル:4 サイズ:1
体:12/+4 反:15/+5 知:12/+4
理:12/+4 意:12/+4 幸:9/+3
命:9 回:6 魔:5 抗:5
行:11 HP:24 MP:14
攻:〈殴〉+9/物理
対:単  射:15m
防:斬1/刺0/殴1
《カラクリ活劇》《精密攻撃》

・《カラクリ活劇》
タイミング:マイナーアクション
代償:4MP
解説:直後のメジャーアクションのダメージロールに+5して攻撃。

・《精密攻撃》
タイミング:メジャーアクション
代償:4MP
解説:【命中値】+2して攻撃。

■設定

 出世コースから外された町奉行。幕府を逆恨みしている。
 蘭学の心得があり、ピストルを自在に扱う。


■武士
種別:人間 レベル:3(モブ) サイズ:1
体:12 /+ 4 反:12 /+ 4 知:10 /+ 3
理:10 /+ 3 意:10 /+ 3 幸:12 /+ 4
命:5 回:4 魔:3 抗:4
行:9 HP:17 MP:14
攻:〈斬〉+ 6 /物理
対:単体 射:至近
防:斬2 /刺1/殴0
特技:《武神の手》(命中クリティカル11)
    《破重撃》(メジャー。ダメージ+1D6で攻撃)


■下級妖異
種別:妖異 レベル:モブ(3) サイズ:1
体:13 /+ 4 反:12 /+ 4 知:10 /+ 3
理:10 /+ 3 意:9 /+ 3 幸:3 /+1
命:7 回:5 魔:4 抗:3
行:7 HP:20 MP:6
攻:〈殴〉+ 4 /物理
対:単体 射:至近
防:斬3 /刺3 /殴3
特技:《攻撃増幅》(マイナーアクション。ダメージ+3D6)
    《武神の手》(命中クリティカル11)


■星の怪物
◆データ
種別:妖異 レベル:15 サイズ:4
体:28/+9 反:21/+7 知:15/+5
理:12/+4 意:20/+6 幸:6/+2
命:9 回:4 魔:8 抗:5
行:12 HP:175 MP:40
攻:〈殴〉+14+3D6/物理
対:単  射:25m
防:斬10/刺7/殴12/炎4/氷4/闇2
《外道属性》《攻撃力UPV》
《攻撃増幅》《BS攻撃:重圧》
《範囲攻撃》
・【命中値】判定のクリティカル値11

◆攻撃
・《BS攻撃:重圧》
タイミング:マイナーアクション
解説:直後のメジャーアクションで実ダメージを受けた対象に重圧を与える。

・《攻撃増幅》
タイミング:マイナーアクション
解説:直後のメジャーアクションで行なう攻撃のダメージを+3D6。

・《範囲攻撃》
タイミング:マイナーアクション
解説:直後のメジャーアクションの対象を範囲(選択)にする。

・恐怖の波動
タイミング:メジャーアクション
攻:〈闇〉+8+3D6/魔法
対:範    射:視界
解説:対象に魔法攻撃を行なう。クリティカル値は10。1ラウンドに1回まで使用でき、実ダメージを受けた対象に放心を与える。

◆奥義
□一刀両断 □一刀両断 □広大無辺 
□剣禅一如 □一蓮托生 □秋霜烈日
□破邪顕正 □疾風怒濤 □千変万化

■設定
 星の世界から訪れた名状しがたき妖異。
 巫女であるリナの力を取り込んでいないため完全体ではない。もし、何らかの理由でリナが生け贄に捧げられた場合、すべての戦闘能力値に+20、【HP】+1000、〈神〉をのぞく防御修正+50、ダメージに+30すること。

■戦闘プラン
 最初の行動で《BS攻撃:重圧》を使用して触手で攻撃。《広大無辺》によってPC全体を攻撃する。
 以降はなるべく多くのPCを攻撃する。《破邪顕正》はPCの防御用の奥義をつぶすために使用すること。

 
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