文:柳田真坂樹 絵:渋沢佳奈

まえがき  

結局のところ。
ものごとのはじまりはタイミングと勢いである。

From 小太刀右京 <XXXXXX@XXXXXXXXXXXX>
To 柳田真坂樹 <XXX@XXXXXX.com>
日付 2010年X月X日X:XX
件名 天下繚乱のWeb記事の件
 リプレイ、やりませんか。

From 柳田真坂樹 <XXX@XXXXXX.com>
To 小太刀右京 <XXXXXX@XXXXXXXXXXXX>
日付 2010年X月X日X:XX
件名 Re: 天下繚乱のWeb記事の件
> リプレイ、やりませんか。
 やりますッ! やらせてくださいッ!

 つまりは、こういうことだ。

プリプレイのさらに前  

某月某日、企画打ち合わせ。
@ウィンドウズ・メッセンジャー

右京さんの発言:
 一応GMは柳田さんにお願いして、オンライン・セッション(*1) 。オンセのコツの解説も含めつつ、全体的にはベーシックなシナリオで、と考えております。

柳田さんの発言:
 確かにオンセは今後も増えていく遊び方だと思いますよ。それに、僕自身も『天下繚乱』はオンセでも遊んでるんです。『遊ぶ機会が……』って方にぜひ「こういう遊び方もある」って知って欲しいですしね。
 ところで“ベーシックな”というといわゆる「テレビ時代劇」な感じですかね。「水戸黄門」や「銭形平次」な。

右京さんの発言:
 ですです。SRS(*2)のゲームはしたことがあるけれど、『天下繚乱』はやってみたことのない、あまり時代劇にくわしくない人」当たり。
 イラストは『カオスフレア』(*3)のパーソナリティーズをお願いしている渋沢さんに、ゲームに参加してもらった上でお願いしようと。あとは僕と田中天さん、加納君。

柳田さんの発言:
 ああ、“姫子の野望”(*4)の渋沢佳奈さんに、『ダブルクロス・リプレイ・デザイア』(*5)の加納正顕さんですね! スゴイ楽しみなメンバーです。

右京さんの発言:
 この話をしたら加納なんかは乗り気で、もうキャライメージを固めてるんですよ。無宿人だったかな。天さんもナニか企んでるッぽい。

柳田さんの発言:
 なるほどなるほど、ならそれにあわせてストーリー作っておくと良さそうですね……。オンライン・セッションですから、今回予告(*6)ハンドアウト(*7)はメールで皆さんにお知らせします。で、当日に残りのプリプレイ(*8)するって流れで行きましょう!

右京さんの発言:
 了解です!


前段あるいはプリプレイ  

 2011年某月某日
 国内某所、複数。
 あるいは、距離など知らぬオンライン会議室にて。

「あ、天さんもログインしましたね」
「小太刀さんのキャラ、結局どうなったんでしょ?」
「いや、まさに30分前にできました(笑)」
「えー、感度良好ですか−、みなさーん?」
「なんか加納さんのだけ声が小さいでーす」
「マイクの設定、どうなってる?」
「これでどう?」
「おー、ええ感じええ感じ」
「よーし、では。揃ったようなので始めましょうか!」

 ヘッドホン越しに集まり来るメンバーの声が聞こえてくる。
 聞こえる声は皆、溌剌としていてこれから始まるセッションへの期待にあふれているように聞こえる。天さんがまたナニかオカシなことを言い、小太刀さんがボケて加納さんが突っ込む、ころころと渋沢さんの笑い声が聞こえてくる。
 誰もがゲームを、この時間を楽しみにしている。
 それに応えられるだろうかという幽かな不安と、それを打ち消すゲーム仲間への信頼。
 大丈夫「僕一人で楽しませる」んじゃない、「全員で楽しむ」のだ。
 そう思えば、不安は心地よい緊張へと変る。

 天下繚乱、Webリプレイ。収録当日である。
 GMとしての勤めを果たそうじゃないか!


PL紹介  

加納正顕
 数々のリプレイで、主人公的言動を責任持って果たし、なおかつ自身がGMをつとめる『ダブルクロス・リプレイ・デザイア』では並み居るPLを窮地のどん底に追いやり、そしてこの『天下繚乱』では、やはりリプレイの『女子高生江戸日記』(*9)をマスタリング、執筆するという超ゲーマーにして兼業作家。人呼んでスーパーサラリーマン。『天下繚乱』のデザイナー、小太刀右京、三輪清宗両氏とは古い仲で息もぴったり。
 普段は箱根の関の向こうから新幹線で駆けつけるとのことだが、そこはオンセの利点で楽々カバー。

渋沢佳奈
 小太刀右京・三輪清宗コンビによる出世作『異界戦記カオスフレア』のファンアートから一本釣りで公式絵を描き、リプレイに参加するという生え抜きのゲーマー。『カオスフレア・リプレイ』の「〜卵シリーズ」ではすがすがしくまっすぐな女子高生、綾瀬姫子を熱演。
 しかし、その笑顔の影に神殺しのチェーンソーを振り回す戦闘民族の血が流れているのを、敢えて見ぬふりをする優しさが、参加者達にはあった……。加納氏からキャライメージ用にと資料を借り受けたらしいが、石川賢(*10)原哲夫(*11)ばかりという話が……。

田中天

 数々のリプレイにGMやPLとして参加。大爆笑と爽やかな感動と、ホントどうでもいい妄言とを怒涛のように繰り出すロールプレイの魔人。自身の最新刊となる『アルシャードクロスオーバーリプレイ 襲来! コスモマケドニア!!』(*12)ではクロスオーバー企画の先陣を切って世界を混沌に叩き込み、四月には第二次世界大戦前夜、混迷の世界に活躍する好漢の物語、『ダブルクロス The 3rd Edition リプレイ・トワイライト 帰ってきた快男児』(*13)が発表される。
 余談になるが筆者の過去のリプレイにも参加していただき、大いに盛り上げて頂いた。加納氏とは小太刀氏GMのリプレイ『ダブルクロス・リプレイ・ストライク』(*14)(富士見書房刊)においてとても見苦しい男の友情というか足の引っ張りあいを繰り広げ息もぴったり。そして持ってきたキャラクターは……それはあとのお楽しみ。

小太刀右京
 ご存じ、『天下繚乱』のデザイナー。
 『異界戦記カオスフレア』で三輪清宗氏と鮮烈なデビューを果たして以来、さまざまなアイデア・企画を推し進め日本のTRPGシーンを牽引するだけでなく、マクロス・フロンティア(*15)のノベライズなどで作家としての地位も固めつつある、エネルギーとサービス精神の権化。人を楽しませることへの熱意、なによりその空間で自分も楽しむことの大事さを伝え続けようとしている人。

柳田真坂樹
 今回のゲームのGMをつとめるゲーム・ライター。これまでの主な仕事はホビージャパン社から刊行されている『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(*16)の翻訳、およびそのリプレイである『海燕、Around the World』(『D&D第4版がよくわかる本』に掲載)など。
 プライベートで『天下繚乱』を遊ぶときは、わかりやすく青龍/剣客をやっている。どうもプレイヤーの時には頭が悪くなる/あったかめになる傾向にある模様。
 映画では『十三人の刺客』 (*17)『将軍家光の乱心 激突』(*18)が、必殺シリーズは仕置人が好き。


今回予告  

GM:では、メールでも送ってありますが、今回予告を読み上げますね!

 常陸の国、鬼無の宿(きなしのしゅく)。
 筑波の山の麓にあって、旅人多く行き交うこの町は今、無法の地と化していた
 突如として隠居した老博徒、竹里長吉。その跡目を巡って、養子の虎太郎が率いる虎太郎一家と、代貸し赤松半次に従う赤松一家が激しく争っていたのである。
 昼日中から刃物を抜いての大げんか、酒に酔って暴れる者達、乱暴狼藉は限りなく、分別ある者は皆巻き添えを恐れ山へと逃げ込む始末。
 しかしこの騒動の背後には、修羅の巷を何より望む、とある妖異の企みがあった。「もっと血を、争いを」と、いぼだらけの巨体が暗闇に蠢く。
 対立はますます止まらず、今や宿場町は一触即発。
 だがそこに、風と共にやってきた者達がいた!
 天下繚乱RPG『妖廻り無頼帖、鬼無の宿〜修羅之蝦蟇』
 百花繚乱綾錦、いざ開幕!



GM: 加納さんのキャラが無宿人、ってことでここは一発旅モノでやろうかと思いまして。イメージとしては土埃舞う関八州、そこでそれぞれが出会ったり離れたりしつつ、事件に巻き込まれたり飛び込んだり。 
小太刀:『三匹が斬る』(*19)『木枯らし紋次郎』(*20)ですな。
加納:いろいろと渡世人の流儀も調べてきたんですよ!
GM: 僕の方も色々資料に目を通してきました、あとで早速やりましょう! 基本的に関東平野なのにタンブルウィードが転がってそうな、少し乾いた感じを狙ってみたいな、と。
田中天:大江戸ウエスタン(笑)
GM: そそそ(笑) では、ハンドアウトを紹介してから各キャラの自己紹介に行きましょうね。チャット・ウィンドウに貼り付けますが、読み上げもやりますね。
渋沢:やっぱり、読み上げてもらうとテンションが違うんですよ〜!

PC1用ハンドアウト
コネクション:竹里長吉 関係:好感
コンストラクション:渡世人 カバー:旅人

 旅の途中、キミは過去に世話になった大親分、竹里長吉の元を訪れた。
 だがかつての大親分は見違えるほどに老いさらばえていた。しかも長吉は跡目を決めぬままに隠居してしまったのだという。
 果たして彼の養子虎太郎と、代貸しの赤松半次は跡目を巡り鬼無の宿で抗争を広げていた。キミは長吉から、虎太郎の助っ人として入り、中からこの争いを収めてくれないかと懇願される。
 修羅の巷に平和を取り戻すため、キミは土埃舞う鬼無の宿に足を踏み入れた。


GM: これが加納さんの渡世人へのハンドアウトです。渡世人なら、まずは義理から攻めてみようかと。
加納:跡目争いかあ……バカ息子か、それとも……。
田中:バカ息子の後始末なら悲惨(笑)
渋沢:けど、跡目も決めないで隠居するのもひどいですよね。
GM: まあ、そのあたりも含めてちょっとおかしいな、とは思ってもらってOKです。では次は渋沢さん、PC2のハンドアウトです。

PC2用ハンドアウト

コネクション:お律 関係:幼子
コンストラクション:天下人 カバー:指定無し

 キミが訪れた領内の宿場町、鬼無の宿。ふしぎと殺風景なその町の一膳飯屋に入ったキミは、そこで町を二分する博徒の跡目争いを目にする。喧嘩に怯える一膳飯屋の娘、お律は涙ながらに語った。
「昔、長吉の親分がいた頃はこんなことはなかったんです」
「養子の虎さんも代貸しの半次さんも、仲が良かったのに」
 民が安心して暮らせるようにするのが為政者のつとめ。こんなことは許しておけないと、キミは立ち上がった。


GM: 渋沢さんのキャラは、天下人で大名のお姫様という話だったので、領内をお忍びで回っているときに出くわした事件、という感じで導入しようかと。
渋沢:OKです!
加納:姫様がお城飛び出して、っていうと『あんみつ姫』(*21)とか思い出すな。
GM:おてんば姫様、ですね! では次、田中さん、PC3です。

PC3用ハンドアウト

コネクション:PC1 関係:好敵手
コンストラクション:指定なし カバー:指定無し

 旅の途中に難儀(金が無くなった、身体をこわした等)をしていたキミは、赤松半次という博徒に助けられる。半次はキミを自分の一家に迎えてもてなしてくれた。そこに難事が降りかかる。彼の一家はもう一つの一家、虎太郎一家との抗争の最中だったのだ。
 しかも虎太郎一家には凄腕の助っ人が草鞋を脱いだらしい、これは恩義を返す絶好の機会、そろそろ酒にも飽きてきたキミは、好敵手出現と喜びいさんだ。


田中:
なるほどなるほど。で、好敵手の名前はかの……PC1と。
加納:いま、PLの名前言いかけたぞ(笑)やる気だこの人。
田中: まぁまぁ(笑)GMに質問があるんですが、この半次という男、自分が惚れて腕を貸すに足る相手に見えますか?
GM: ええ、そこはOKです。実際に半次は配下に慕われていて、だからこそ一家を分かつようなことになったときにも、彼の元に多くがついてったんです。
加納:む、虎太郎はボンクラっぽいなぁ。
渋沢:そうねえ(笑)
加納: 両方ともボンクラだと、89年版の『座頭市』(*22)みたいになってそれはそれで愉快なんだけど……。
GM:確かにそれも考えたんですが、バイオレンス度が酷いことになってヤバイ。
加納:PC以外誰も生き残らないもんなあ(笑)
GM:そして、ラストが小太刀さんのPC4です。

PC4用ハンドアウト

コネクション:修羅之蝦蟇 関係:憎悪
コンストラクション:退魔僧 カバー:特になし

 諸国を巡り妖異を討つ旅の中、キミはかつて取り逃がした妖怪、修羅之蝦蟇が鬼無の宿に居ることを突き止めた。人々の争い・不和で流される血を餌とする修羅之蝦蟇は、しかし巧みな擬態、隠れ身の技でその身を隠し続けている。ヤツの居所を突き止めるには詳しい調査が必要だ。キミは鬼無の宿に飛び込んだ。


GM: 一応、最初から妖怪の修羅之蝦蟇を知ってて仇敵、ってことにしたんですけど、小太刀さんのキャラはまだ固まってなかったですよね? 大丈夫ですか?
小太刀:あ、いや! ちょっとイイこと思いついたんで、これでOKです。
GM:では、皆さんが作ってきてくれたキャラの自己紹介をお願いします。

コラム:共有情報の明示
 オンライン・セッションでは、普段印刷して用意するハンドアウトや資料を、GMの方で用意しておくのが比較的簡単だ。
 今回予告、ハンドアウトなどは事前にメールなどでやりとりしてあれば、それをチャット・ウィンドウに貼り付けるだけで、共有できる。
 ただし、チャット・ウィンドウだとゲームの処理を行なううちに流れてしまう。
 例えば、セッション用のBBS(掲示板)を用意し、そこに情報をストックしておく。
 Googleドキュメントなどの、オンラインでドキュメントを作成、共有するサービスを使って、必要な資料を共有しておく等が便利だ。
 また、実在の場所を舞台とすることの多い『天下繚乱』ならば、冒険の舞台の写真などを検索し、それへのリンクを貼ることで、風景の説明を行なうこともできる。


PC@:隼の十兵衛:――プレイヤー:加納正顕  

 男は歩く。足早に、歩く。
 ひゅうひゅうと、木枯らしが吹く。
 かつてその木枯らしは、男のぽっかりと空いた心の穴を無情に吹き抜けていた。
 それは、故郷で抉られた穴だった。

 ささやかに思い描いた友と妹の幸せ。
 それを踏みにじった輩――友を妬む藩重臣の子弟――を斬り捨てたとき、男は己のよって立つものを、心を、確かに捨てたのだ。
 加賀八家の一門として、藩を支えるという未来を。
 武家として抱いていた誇りを。
 忠義の名の下に、理不尽を強いる武家の生き様を。
 そして、腹を切り、侍として死ぬ最後の誉れも。

 妹は言った。
 「生きてください」と。
 涙を一筋流しながら、なお凛として。
 そして男は旅だった、その言葉に縛られるように。ただ生きるためだけに。
 そして男は知った。おのれの英傑としての宿命を。

 男に何を感じたか――すれ違うものがふと振り返る。
 いや、どうということはない、あれはただの旅烏。どこにでもいる渡り者。
 ぼろぼろの三度笠にところどころほつれた道中合羽。いずれも土埃にまみれ長い旅を伺わせる。
 口に一本、五寸ばかりの楊枝をくわえている。
 笠の下の顔立ちは精悍で、そして、どことなく近寄りがたいものを感じさせる。

 それだけではない――すれ違うものは男の後ろ姿を眺める。
 男は――ただの流れ者というにはまっとうすぎる。
 顔立ちか、立ち居振る舞いか、それとも――
 考えあぐねるが、それもまた一瞬のこと。袖摺りあおうとも無縁は無縁。
 振返った旅人も、再び己の旅路を急ぐ。
 足下からひゅう、と風が立つ。

 男は歩く。足早に、歩く。
 木枯らしが吹き抜ける。
 だが、胸に空いた穴は、旅立ちの時よりも小さい。
 男は今も、歩き続ける。


加納(以下、十兵衛): 隼の十兵衛と発します、無宿人でございます。元は加賀前田家に仕えるれっきとした武士で、加賀八家(*23)の一つ奥村惣十郎、小野派一刀流(*24)の達人。隼の如き剣をつかう使い手です。
田中:なにゆえ、出奔してしまったんだ?
加納: 親友であり、妹の婿にと考えていた男がおりました。彼は身分が低いながらも文武に優れ篤実、殿の覚えも良い男。しかしそれゆえに同輩のやっかみを受けて謀殺された。
渋沢:ひどい……。
十兵衛: その謀殺に関わったのは皆、藩の身分賤しからざる子弟。しかし俺はそいつらを皆殺しにしました。で、そのまま腹を切るはずだったんですが、妹に「生きて下さい」と懇願されて藩を出奔。
GM:その後に英傑(*25)の宿命に目覚めたと。
十兵衛: はい、今は“加州無宿、十兵衛”と名を変えて放浪の旅を続けております。基本的に人との関わりを極力避ける。
田中天:無宿人の中でも木枯らし紋次郎型ね。
十兵衛: ただ、根は善人なのでもめ事にどうしても首を突っ込んでしまう。関係無いけれど、巻き込まれたからには仕方ないな、と。
GM:いい人だ……。
十兵衛: クラスは白虎(*26)剣客(*27)渡世人(*28)をそれぞれ1レベル取ってます。前に出て殴ることもできますが、敵の攻撃を引きつけてヒラヒラかわすというのが基本です。
小太刀:避け型のタンクね。
十兵衛: 《立ちはだかる壁》(*29)でエンゲージを封鎖しておいて避ける。具体的に言うと、回避値は11!
渋沢:だいたいよけられるよね、それだけあれば(笑)
田中:嬉しい! 俺は遠隔攻撃だからな!
十兵衛:ちなみに命中値も11あるので、こっちの攻撃もだいたい当たる
GM:おおー。
田中天:あ、そいえば身長体重とあとイケメン度とか。
十兵衛: 顔は『花の慶次』の奥村助右衛門、ちょっと若い頃の京本正樹、それがちょっと無精髭生やした感じで。
全員:『あー!』
十兵衛:身長5尺七寸(172cm)、体重十八貫(68kg)。当時としては大きめで。
GM:だいたい現代人とおなじくらいですね、では次、渋沢さんのPC2を。


PCA:ゆず:――プレイヤー:渋沢佳奈  

 関東赤井藩。今日もお城は大騒ぎであった。
「姫様、ゆず姫様はどこへゆかれた!」
「今度こそは許しませぬぞ!」
 家老に、腰元頭。二人ともが目を三角にして駆け回っている。

「お城がにぎやかだねえ」
「またゆず様がお城を飛び出したな」
 城下はもうこの騒ぎには慣れっこである。
 だれもに愛されるこの藩の姫様、名はゆず。お忍びで城下に現れる様はまさに神出鬼没、ゆえに誰が呼んだかまたの名を「天狗姫」。あだ名が災いしたか御年十六にして、今だ輿入れの話もナニもないが、当人はそれもどこ吹く風。

「こんな良い天気なんだもん、外にでたいよね!」
 当の姫は天守閣のてっぺんでうんと背伸びをすると、にっこりと笑う。
「見つけましたぞ、姫様」
 と、武人然とした烏天狗が一人、バサリと羽音を立てて屋根の上に降り立つ。
「三太夫と千登勢が困っております、早う稽古にゆきなされ」
「じい、鬼無の宿で反物市があるというわ。行きましょう!」
 ゆずは襟元に手をかけ、ぐいと左右に引いた。抜けた衣文から白いうなじ、そして背中までが日の光に映え、そして、見よ! 青空に広がったのは、真白き美しい翼。
「どこぞの花魁でもございますまいに、なんとはしたない!」じいと呼ばれた老烏天狗の眉間に新たに皺が一本刻まれる。
「振袖ごとやぶくわけにはいかないでしょ」コロコロと笑って天狗姫は空に飛び立つ。
朱赤の袂が、裾が翻り、大きく染め抜いた牡丹花が碧空にふわりと散るかとさえ見えて。
「今日の勉強は社会科見学!」

「おっかあ、また姫様がとんでくー」空を眺めていた子供が呟いた。
「そうねえ、お城の人も大変ねえ」洗い物の手を止めず、長屋のかみさんは答えた。
 ほんとうなのに、と言いかけて子供は口をつぐむ。

 天狗姫のゆず、その名の真実を知るのは城下にもごくわずか。


渋沢(以下、ゆず):名前は色々迷ったんですが、ひらがなで“ゆず”、としました。
GM:可愛い名前ですね!
ゆず: ありがとうございます♪ さる大名の娘で、両親ともに人間だったんですけど天狗の血が混じっていたらしくて、小さな頃に天狗として目覚めました。
田中天:なるほど、チェンジリング(取り替え子)か。
ゆず: で、本当はえらいことなんですが、両親が親バカで『可愛い娘だし、まあいいか』と深い愛を受けてそのまますくすく育ちました。
全員:『おいぃい?!』
GM/奥方:「羽が生えてますけど可愛いからかまいませんわ」
ゆず: お殿様もゆずが奥方そっくりで可愛いので、迎えに来た天狗に「娘はやらぬ! うちで育てる!」と突っぱねまして、天狗の里に行くのを断ったんです。
小太刀:親バカだ!
ゆず: でもさすがに野放しにするわけにはいかないので、監視役兼教育係として一人、《忠実なる右腕》(*30)としてエキストラの烏天狗がついてくれてます。
GM:  きっとあちこちで「姫様!」とたしなめる係ですね(笑)老武人風にしましょうか。
ゆず: じゃ、こちらは「じい」と呼ぶことにしますね! それと、ビジュアル・イメージがあった方がいいと思いましてイラストを描いてきました(画像へのリンクをぺたり)。
GM:おおー、可愛い。
ゆず: へへへ、がばっと襟を開けて羽を出す感じで。天狗だったりお姫様だったりで束縛が多かったぶん逆に外の世界に関心が強くて、飛べるようになってからは意気揚々と窓から出て行くようになりました。
GM:お城の中の人も大変だー。
ゆず: で、自分が英傑だって自覚してからは、よりいっそう外にでてゆくようになりました。「困った人を見つけたら助けてあげないと」という感じになってます。クラスは、玄武(*31)天狗(*32)天下人(*33)を1つずつ、奥義は《天佑神助》、《不惜身命》、《鎧袖一触》です。
 あと、特技はかたっぱしから味方の支援をするものにしました。仲間の判定を振り直させる《名将の指揮》、相手の判定を振り直させる《天賦の貫禄》、あとは相手の達成値を無理矢理下げる《神秘念力》など。で、メジャーは《一件落着》以外にすることがないので……(さらっと)。
GM:ちょ、ちょっと待って。それはオカシイ(全員爆笑)
ゆず:そんなことないって! 玄武だったら普通だって!
十兵衛:ま、まあ、ありかな。
GM:アリなのかッ!
ゆず: けど《天狗変》(*34)すると行動値18という、けっこうな数字になるので動けないのがもったいないなと。
GM:たしかに、ぶっちぎりで先行できますもんねえ。
ゆず: だからダメージは低いんですけど、命中すると相手にバッドステータス“狼狽”(*35)を与える武器、“煮え湯”を選びました。
全員:『イヤ待て!』
田中天:何で突然攻城戦になるんだよ!
十兵衛: あんみつ姫が現れたかと思ったら、背中から翼生やして飛んで、煮えたぎった湯を浴びせてって(笑)
小太刀:わけがわからねー!
GM:(笑いすぎて息も絶え絶え)せ、説明を要求しますッ!
ゆず: 例えば町中だったら、天狗の神通力で風を起こしてお店のお湯をぶちまけたりとか。
十兵衛:それこそ、天狗つぶての1つにしてしまうとか。
GM: ああなるほど! それならカッコいいし自然ですね! そうしましょう、した! では次、PCBの田中さんのキャラです。


PCB:源為朝あるいは弓張源八郎:――プレイヤー:田中天  

 そこは、修羅の地獄絵図。紅の旗を翻し、死相凄まじきもののふ達が異形の矢を放つ。

 ――浪のしたにも都のさぶらふぞ。
 否、そこにあったのは魔界であった。
 平家が源家を討ち滅ぼし、蹂躙するもう一つの壇ノ浦。
 あり得たかも知れぬ、歴史の幻像。
 否、ここではこの幻像こそが真。
 燃え上がる白い旗、波間に沈む板東武者の怨嗟を肴に、杯を傾ける僧形の男。
 閻羅王、平清盛の魔界である。

 だが、その闇の中に転生し、それでもなお魂の輝きを失わぬ豪傑の姿があった。
 その男は偉丈夫だった。
 背が高い。
 首が太い。
 胸が厚い。
 腕が逞しい。
 波間に漂う舟の上、その男の周りだけはつわものの魂を奮わせる気が、紛うことなき英傑の気が満ちていた。

「久方ぶりだな、為朝。うぬと弓を交えるは大炊の御門以来か」
「吼えるな、清盛。あの時、郎党のうしろで縮こまっておったこと。忘れてはおらぬぞ」
「おうさ、ワシとてあの恥は忘れてはおらぬ。あの時はまだワシも若かった。
 だが、今は違う。ワシは冥府の王で、うぬは冥府の亡者。この壇ノ浦で永劫の負け戦を味わい、怨嗟を叫ぶが良い!」
 西国の覇王は令を下した。ざあっと猛雨が、為朝の舟を襲う。否、それは雨の雫などではない、雨とも見まごう無数の矢!
「為朝様!」舟の櫓を握る娘が叫ぶ。その声は屍者ばかりのこの世界でただ一つ、生の光を宿している。芭蕉布の着物に高く結い上げた髪、そして小麦色の生気溢れる肌。そうだ、この死者の世界で、この娘だけは生きているのだ。
「案ずるな、娘」
 為朝は、微笑んで言った。
「俺は、惚れた女を泣かすような真似はしない。絶対に、お前を地上に戻してやる」


田中天(以下、源八郎):姓は源、名は為朝。またの名を鎮西八郎為朝。
小太刀:源平時代の大豪傑……。
十兵衛:きちゃったー!
源八郎: ええ、本人です(断言)。身長七尺。左腕が右腕よりも四寸長く、弓の大きさは250cm。
GM: おもしろかったからOKとは言ったけど、ホントどうしよう。この人ねえ、史実でも保元の乱(*36)で清盛と真っ正面からやり合って、しかも潰走させてるんですよ。
源八郎: 例によって時空破断(*37)で飛んできた組の一人。1170年に伊豆諸島で奮戦のすえに自害(*38)して地獄に堕ちたんですが、その後も冥府に面白い連中が来たんで「冥府で国盗り合戦だ!」とエンジョイしてたところ、一人の女に出会う。
GM:それは?
源八郎: 昔話っぽく、誤って冥府に紛れ込んでしまったという女。で、為朝はこの女に一目惚れして「よしわかった、お前を娑婆に連れ戻してやろう」と、冥府の剣林弾雨をかいくぐりながらこの世とあの世の境界線までやってきた。
小太刀:ふんふん。
源八郎:ところがそこで出会ったのが因縁深い、閻羅王(*39)となった平清盛(*40)
ゆず:何でそんなところで?!
源八郎: 「清盛曰く、ワシもその女に惚れたのよ」ということで境界線で大合戦。そこで大時空破断が発生して俺は化政時代に吹っ飛んできた。
GM:清盛と女の取り合いってのもスゴイですね!
源八郎: で、女は何とか現世に戻すことができたらしいので、「またあの女にあいてえなあ」と思いながら旅をしている。この女なんだけど為朝は名前以外は知らない。けど、絵姿を持っているので、旅すがらそれを見せて行方を尋ねる。
十兵衛:源平の英雄が江戸時代をさすらう、と。
GM:どんな女性なんですか?
源八郎:うん、化政時代の人間に見せると「ああ、これは琉球の女だ」とわかる。
GM:ああっ、なるほど! そう来たか。
小太刀:そこで『椿説弓張月』(*41)につなげるとは!
源八郎: そうそう!「なるほど。琉球か、これはおもしろい!」と、いずれ元の時代に戻った為朝は琉球に渡って琉球王になる(笑)
GM:そのネタはどこかでぜひ使いたいですね!
源八郎:で、行動指針なんだが。三つしか書いてない。
GM:伺います。
源八郎:・惚れたら助ける。
源八郎:・嫌なら殴る。
源八郎:・外道は殺す。
GM:どこのコナン(*42)ですか!(爆笑)
ゆず:シンプルだなあ(笑)
小太刀:迷いが無い(笑)
源八郎: で、この時代に来てしばらく“源為朝”って名乗ってたんだけど、どうもなんか気の毒な人を見るような目で見られるので(一同爆笑)本名をいつわることにした。その名は弓張源八郎(ゆみはりげんぱちろう)
十兵衛:ああ、なるほど源の八郎ね。
GM:そして弓張り、と。
源八郎: 普段の呼び名は八の字とか、源の字でいいんじゃないかな。信じてもらう必要は無いのでいちいち自分の素性を吹聴したりはしないんだけど、「アンタもしかして、源為朝……」と聞かれたら「ああ、そうよばれたこともある」と否定はしない。
小太刀:クラス構成は?
源八郎: 朱雀(*43)いくさ人(*44)黄泉還り(*45)。だから加護がモテ中のモテ。《破邪顕正》、《疾風怒濤》、《千変万化》。
ゆず:きゃー、カッコいいー、抱いてー(笑)
源八郎: 戦闘では冥府装備(*46)の破魂弓を使う。これは、戦で敗れた源方の怨念をこり固めて作った弓、一方弓弦のほうには打ち倒した平氏の怨念を寄り合わせてある。引き絞るたびに怨念たちが怨嗟の叫びを上げるという……。
GM:悪役じゃないですか!
源八郎:本当だ!
全員:『驚くなよ!』(爆笑)
十兵衛: しかし、朱雀ってことはその攻撃が範囲に(*47)飛んでいきますよね。さらに飛び道具だから、移動する必要なくてマイナーを好き勝手使える。
源八郎: そのうえ、この弓の能力で“重圧”(*48)も与える。というのも、蘭学者が俺の弓を解析したところ、この弓から放たれた矢は速度を増して飛行し、到達点では光速を越えて質量が無限大になる。で、周辺の時空連続体の因果律は崩壊しすべての存在的時間が意味を失うと、その蘭学者が説明してくれたんだが、俺はバカなのでよく分からない(全員大爆笑)
小太刀:マ、マブイ!
GM:どういうことなのか、もうよく分からないよ……。
源八郎: まあ、蘭学者が言うんだから正しいんだろう(笑)で、どうやら清盛もこの時代にきたらしいので、「コイツは楽しい戦ができそうだ!」と清盛にも会いたく思ってる。
GM:スゴイのきちゃったなあ……。ではラスト、小太刀さんのキャラです!


PCC:飯縄坊紫電:――プレイヤー:小太刀右京  

 深い谷に闘いの轟音がこだまする。
 高らかに真言が唱えられ、法力の火炎が赤々と夜空を染める。
 小山のような身をゆすり、大蝦蟇は雷を放つ。
 妖異と英傑の果てなく続く闘い、そこに彼、飯縄坊紫電の姿はあった。

「わあああ、冗談じゃねえぞ、あんなのと戦えるわけないじゃねえか!」
 具体的には、切り株の影。……誰も、戦っているのが彼だとは言っていない。
 しょせん、ただの大蝦蟇と村人の頼みを受け、たっぷりと酒と名物を喰らって意気揚々と山に登ったところがこのありさまである。
 くだんの妖物は今まさに旅の僧と戦っているところ。旅の僧は本物の退魔僧、いや英傑と見えるが、それですら苦戦している。

「ぬうううッ!」苦痛の叫びを耳にして、谷底をのぞき込む。見れば、巨大な岩――いや、姿を変えた蝦蟇がついに、旅の退魔僧をとらえていた。胸より下を蝦蟇の顎に捉えられ、退魔僧はごばり、と血を吐いた。
「い、いけねエッ!」思わず身を乗り出したとき、退魔僧がカッと目を見開いた。瞬間、その身体は轟音とともに爆裂四散、火柱が飯縄坊の顔を灼く。身を捨てての技だった。
「や、やったか!?」土煙の中に目をこらす。
 だが、そいつは、まだ、動いた。
「うわあああああっ!!」彼は、岩を投げた、盗み覚えた真言の技を叩き込んだ。
 夢中だった。

 朝が訪れた。鳥の鳴く、平穏な朝だった。
 ちぎれた数珠を埋め、手を合せる。
「生者必滅会者定離、南無阿弥陀仏南無無駄仏」
 仕留め損なったが、追い払いはした。里に戻りそれを伝えねばならぬ。証にと飛び散ったいぼ、蝦蟇の指を拾い集める。
 と、その手がとまった。
 蝦蟇の残した骨の山、数知れぬしゃれこうべ。
 その中に、彼は見つけたのだ。他よりも小さな、ともすればそのままに潰れてしまいそうな、小さな髑髏を。
 彼は、立ち上がり、空を仰いだ。
 そして、歩き始めた。妖異の後を追って。


小太刀(以下、飯縄坊): 名は飯縄坊紫電。この名前にはちゃんと理由がありまして、このキャラは退魔僧なんですよ。諸国を経巡って邪悪な妖異や妖怪を倒す天下一の無頼なんです。
GM:ほう!
飯縄坊:と自称している詐欺師です。
全員:おいィッッ!
GM:すごいカッコ良いって思ったのに!
飯縄坊: えー、もとは孤児だったんですが、高野山の坊さんに拾われてそこで寺男をやってまして、門前の小僧のナントカ、で退魔の法を覚えた。
源八郎:それは才能だな!
飯縄坊:で、「高野山の方から来ました」といって各地で営業している。
十兵衛:消火器詐欺じゃねえか!(笑)
源八郎:たまに「比叡山の方から来ました」になる(笑)
飯縄坊: なるべくショボい妖怪や妖異をさがしては、「コイツは天下を騒がす閻羅王と同等の力を持っているなんて危険なヤツだ」と言って倒して、金をもらって去って行くという。『三匹が斬る』のたこ(*49)見たいな感じです。
GM:で、ときどきホンモノの妖異に会ってヒドイ目にあう(笑)
飯縄坊: そうそう、今回のハンドアウトがまさにそれなんですよ。
たぶん信州あたりで俺は修羅之蝦蟇を知った。噂によればヤツは人を食い、旅人を襲うという。俺はその地の長者に「俺は高野山の方から来た退魔僧だ、弘法大師にもお目にかかったことがある」
源八郎/村人:おお!
飯縄坊:いや、遠くから参拝しただけ。
十兵衛:ダメじゃねえか!
GM:それでも村人は純朴で、「こんなスゴイ方なら、きっと頼りになるだよ」と。
飯縄坊: というわけで、その日は長者の家でしこたま般若湯をのみ、名物の鴨鍋と野沢菜を貪り喰らい。
ゆず:みょ、妙なところが詳しいですね。
飯縄坊: うむ、こんなこともあろうかとサプリメント『江戸絢爛』には全国の特産品がまとめてある。で、ふろしきに食い物を詰め込んでフレーバー前金(*50)をもらって山に登ってゆく(笑)「よーし、これで出てくるのがただのジャイアント・フロッグ(*51)とかだったらいいなあ!」
ゆず:ジャイアント・フロッグって……別のゲームじゃん!
飯縄坊:ところが山では既にワンダリング英傑(*52)と蝦蟇が戦っていて……。
全員:『ワンダリング英傑!』
飯縄坊: で、そのワンダリング英傑は「コイツだけは人里に下ろすわけには行かん! く、こうなれば俺の最後の力で!」といって、ワンダリング自爆(*53)します。
全員:『ワンダリング自爆ってなんだよ!』
飯縄坊:一体誰だったんだろうなあ、この人(全員爆笑)
十兵衛:こ、これはヒドイ(笑)
飯縄坊: でもその自爆を喰らっても修羅之蝦蟇は死んでなくてデスね、俺はそこでイマジナリーGMに言うわけですよ。「GM、アイツはまだこちらに気が付いてませんよね、不意討ちできますか? できますね」と言ったあと(全員爆笑)。おもむろに大オイルをなげて「不動明王火炎呪!!」と火を付け、悶え苦しんでいるところに、高いところからフレーバー岩やフレーバー独鈷杵を投げて。「し、死んだか! やったか!」
十兵衛:それ、殺し切れてないフラグじゃないかよ!
飯縄坊: で、とりあえず修羅之蝦蟇はそこから逃げたので、里に知らせたあと、後を追って鬼無の宿に来たと。
GM:いやー、こんなキャラとは思わなかったなあ……。
十兵衛:あれ、飯縄って、こういう字だっけ? 縄じゃなくて綱じゃなかった?
飯縄坊: いや、こういう書き方もあるんだ。天下繚乱では飯縄権現はこう書いてるんで。
GM:(ルールブックを確認して)あ、ホントだ! 言われるまで気が付かなかった。
飯縄坊:で、外見はね。『七人の侍』(*54)の菊千代。
全員:あー!
GM: 実は武士や退魔僧じゃなかった、ってところが共通するか。愉快キャラに見えて深そうだ。
飯縄坊: (ちょっと考えて)たぶん、このキャラクターは、昔両親を妖異に殺されたりして、心の底では妖異を許せないでいる。だけど、結果が伴ってない、そんな感じで。
クラス構成は青龍(*55)1と退魔僧(*56)2、奥義は《一刀両断》と《秋霜烈日》です。源八郎の範囲攻撃がかなりエグいはずなんで、それに《秋霜烈日》を載せていこうというコンセプト。
十兵衛:なるほどな!
源八郎:  ただ、俺はエンゲージ内に発射できないから接敵されると死ぬんで、そこよろしく。
ゆず: 大丈夫! 十兵衛と組んだことを考えて《陣形構築》(*57)をとってあります。セットアップ・フェイズ(*58)に《陣形構築》して十兵衛をいち早く敵のエンゲージにぶち込むという。
十兵衛: どうにも、接近戦をするのが俺だけらしいからな。そこで《立ちはだかる壁》で俺がそのエンゲージを封鎖して抑える。
田中天:おお! それはありがたい!
GM:なるほど、そういう戦術なんですね。巧いなあ……。


コネクション  

ゆず:じゃあ、PC間のコネクションを結びましょうか!

 PC間コネクションとは、それぞれのPC達がどのような間柄で互いをどう思っているのかを表現している。これをセッション前にあらかじめ決めておくことで、ゲームの中での各キャラクターの関わりかたがわかりやすくなり、進行がスムーズになるのである。ハンドアウトにあったNPCへのコネクションも同様だ。
 これらは、『邂逅表』でROCして決定する。忘れてはならないのは、PC間のコネクションは互いの同意のもとで結ぶと言うことだ。お互いに関係を考えること、それがかけがえ無い仲間を作ることにつながる。

GM: 今回は特に、ギミックっぽいものは無いのでPC番号順にお願いします。十兵衛と源八郎のはハンドアウトで例外的に指定してますが、それは別で。


隼の十兵衛→ゆず

十兵衛:6の1「忘却」、「なんかこんなやつが居た気もするなあ」
ゆず:えー!?
十兵衛: いや、覚えてはいるんだけど、あまり自分に関わって欲しくないんで知らない振りをするんだよ、きっと。会うたび会うたび、「お前さん、誰だったかねえ?」って。
ゆず: じゃあ、こっちからは「もう、すぐ忘れるんだから」とプンスカしておく。「失礼しちゃうわ。私、毎回名乗って上げてるのに」
十兵衛:するとこっちは毎回名前を間違ればいいんだな(笑)
飯縄坊:それ、おもしろい!

ゆず→源八郎

ゆず:えーとね、4の5で好敵手って出た。
飯縄坊:なんの好敵手なんだよ!(爆笑)
源八郎:つまり同じ人外同士仲良くやろうという……。
ゆず:もう一回振り直します(笑)3の5で興味、こっちの方が自然な感じ。
十兵衛:つまり、「わあ、デカイ」とか。
ゆず:「肩に止まれそう♪」とか。
GM:うんうん、らしいですね。

源八郎→飯縄坊

源八郎:じゃあ、こちらで振ってみましょうかね。3の1、同士!
飯縄坊:同士……同士? ……詐欺の片棒をかつぐ、とか(全員爆笑)。
源八郎:それはおもしろいな! 俺は冗談にも結構乗っかっていくと思うんだよ。
飯縄坊: こっちは、源八郎のことを『おもしろいサギの手口を考えたヤツだ』と思ってるんですよ!
GM:為朝サギぃッ!?
十兵衛:鎮西八郎サギ(笑)
飯縄坊: 「しかもちゃんと強い、これはイケる!」いちおう、妖異をやっつけるところはサギじゃないはずなんで。礼金ふんだくってもOK。
源八郎: 俺の方としては、サギの片棒かついでいるつもりはないが、飯縄坊にくっついているとおもしろいことに出くわすから一緒に行動する、だろうな。
 あ、あと飯縄坊には「いいか、ここだけの話俺の名は鎮西八郎源為朝って言ってな」と伝えてある。
飯縄坊:こっちは「スゲー! ホンモノに合うとは思わなかったぜ!」と(笑)

飯縄坊→十兵衛

飯縄坊:これは、振らずにくされ縁でどうかな?
GM:あちこちで出くわしてるんですね!
十兵衛:『イイ儲け話があるんだ』とかいって俺にすりよってくる。
飯縄坊:そうそう、毎回俺がインチキ商売やってるとお前がやってくる(笑)
十兵衛:「そろそろそんな阿漕なマネはやめたらどうだ」と言ってる。
飯縄坊:「いや、今度こそホントだって、儲かるって!」と言って懲りない(笑)
GM: いや、これスゴイ時代劇っぽいですよ! さて、コネが決まったから開始時の状況を説明しやすくなりました。十兵衛と飯縄坊、そして源八郎は普段から旅をしているので、定住しているのはゆずだけですね。
ゆず:そうでーす。
GM: ですので第一回は、ゆずの藩を舞台にして始めようと思います。で、今が1時50分、準備して2時開始、ところどころで休憩を挟みつつ、6時から7時には終わらせようと思ってます。楽しんでもらえるよう、頑張ります! 協力よろしくお願いします。
全員:『よろしくお願いしまーす』
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コラム:開始あいさつと時間管理
 たとえSkypeなどによるリアルタイム会話を行なっていても、オンライン・セッションは通常の生身のセッションよりは時間がかかる。それは、基本的に互いの意志を音声でしか知ることができないからだ。
 人間のコミュニケーションは、通常五感を駆使して行なわれる。特に言葉以外の身振りや視線で得られる情報は多く、それが得られないオンライン・セッションでは、その分互いの意志をはかりかねて発言が不活発になったりする。
 だからこそ、セッションを始めるとき、特にメインプレイに入るときには元気よく、あいさつをしよう。確かに声以外の情報が無くて不安かも知れない。けれど、君たちは今この時、このゲームを遊ぶために集った。
 その思いを確認して、思い切り楽しもう。
 次に重要なのは、全員で時間を管理する意識を持つことだ。そしてそのために一番簡単なのが、「終了時間は何時です」とGMが明言することなのである。
 もちろん、用意したシナリオにどれだけの時間がかかるか、はっきりと見当がつかないこともあるだろう。だが、それでも「この時までに終わらせる」と意識することで、全体進行のペースをつかむことができる。
 そして、PL陣も自身のシーンを物語の進行の度合いとを鑑みて遊ぶことができる。
 オンラインという形で遊ぶのは、そうすることで貴重な仲間とTRPGを遊ぶ時間を確保できるから、であるはずだ。
 ならば、その時間は参加者全員で有効に使おう。

オープニングフェイズ  
オープニング00 妖異生誕 マスターシーン

 蝦蟇は、夢を見ていた。
 彼が一番初めに思い出すのは。あの喧噪の日のことである。
 あの日、数多の人の血が流され、そして、絶望と怨嗟の声が宿場中に響き渡った。
 彼が、隠れていた館の床下。そこにも血が流れてきた。
 こんなにもたやすく、そして、腹一杯に血と魂を口にすることができたのは、その日が始めてだった。
 この日、一つの妖異が生まれたのであった。

 明石藩藩主、松平斉韶、江戸への参勤交代のおり、急死。
 幕府へは、病死と報告された。
 しかし、当時より暗殺の噂は絶えなかった。
 英傑達が鬼無の宿に集う、その百年ほど昔の物語である。


GM: というわけで、オープニングフェイズ、まずはマスターシーン(*59)から演出させて頂きました。この事件そのものは今回のシナリオには関わってきませんが、修羅之蝦蟇の由来と言うことで。

 オープニングフェイズは各キャラクターが冒険にどのように関わってゆくかを説明、導入する段階である。
 それぞれの動機、立場が説明されたのち、ゲームは物語を展開させるミドルフェイズに移行しする。
 そしてミドルフェイズでのキャラクター達の行動によって、物語はクライマックスフェイズに導かれる。キャラクター達はそこで、物語の決着を付けるべく妖異と決戦を行なうのだ。
 その決戦で、見事勝利を納めたなら、物語のその後、そして次なる物語への誘いを示すエンディングフェイズとなる。
 その間の進行は演劇や映画のように“シーン”と言う単位で区切られており、シーンを重ね連ねてゆくことでゲームは進行し、物語が形づくられてゆく。

オープニング01 零落の博徒 ――シーンプレイヤー:隼の十兵衛

GM:
まずは隼の十兵衛が長吉のところを訪れるところから始めようと思います。

 季節は冬。
 上州の空っ風が吹きすさぶ畑道。あとしばらく歩けば、鬼無の宿に入る。
 老博徒の隠居場は、そんな町はずれにあった。
 十兵衛は足を止め、しばし眺める。
 それは、あの大親分の隠居先にしてはあまりにも粗末な家屋敷だった。


十兵衛: では、楊枝を口にくわえて、夕暮れどきぐらいにその家の軒先に入る。「御免下さい」と。
GM: しばらく奥で物音がします。やがて上がり口に這うようにして、寝間着姿の男がでてくる。それは、見違えるようにやせ衰えた老博徒、竹里長吉。
十兵衛: ……では、その変わり果てた姿に驚きながらも、仁義を切る。「御当家軒先の仁義、失礼ですがお控えなすって」
GM: 長吉は、十兵衛の仁義を切る姿を見ると、その時だけはかつての気概を取り戻したのか、襟元をあわせ、居住まいを正すと仁義を受けます。「有難うございやす。軒先の仁義を失礼さんにござんすが、手前控えさせて頂きやす」
十兵衛:「早速ながら、ご当家、三尺三寸借り受けまして、稼業、仁義を発します」
GM:「手前、ご覧の通りの隠居もの。どうぞ、お控えなすって下さい」
十兵衛:「手前、旅中の者で御座います。是非とも、親分さんからお控え下すって」
GM: 「有難う御座います。再三のお言葉、無礼とは心得ますが、手前、これにて控えさせて頂きます」
十兵衛: 「早速、お控え下すって有難うございます。手前、粗忽者ゆえ、前後間違いましたる節は、まっぴらご容赦願います。手前、生国と発しますは加州石川、加賀百万石の金沢にございます。親分なしの子分なし、一本どっこの旅がらす、人呼んで隼の十兵衛。稼業、昨今の駆出し者で御座います。以後、万事万端、お願いなんして、ざっくばらんにお頼み申します。」
GM:「有難う御座います。どうぞ、お手をお上げなすって・・・」
十兵衛:「親分さんから、お上げなすって・・・」
GM:「それでは困ります。」
十兵衛:「では、ご一緒にお手をお上げなすって・・・」
GM:と、二人して手を上げて。顔を見合わせる、ですね(ふぅ)。
全員:おおー!
ゆず:これ、合い言葉みたいなものなんですか? カッコいいなあ!
飯縄坊:仁義、って言ってね。自己紹介と、これから世話になりますっていう挨拶。
源八郎: 敵対する意志がないこと、自分が常識人であるということ、自分の出身地や生い立ち、後ろだてとなる組織・親分、自分の侠気をアピールという意味がある。
十兵衛:間違えると無礼になって、ややこしいことになったりね。
源八郎:ヤクザの方がこのへんのしきたり大変なんだよな(笑)
飯縄坊: しかし、こういうときに親分自身が出てくる事なんてあり得ないな。たとえ隠居してたって、若え衆の一人や二人いるハズだ。
十兵衛: 「久方ぶりにお目もじつかまつりやす、竹里の親分、ご無沙汰しておりやした」と、変りように感じることもあって言葉を濁す。
GM/長吉: 「隼の、親分なんてよしてくれ。俺はもう隠居した身、しかもな」とここで苦しくなったのか、息を整えます。「今じゃわけぇモンもここには置いちゃいねえ。病かもしれねえッてんでな」。そしてですね、

 十兵衛は目を疑った。
 あの大親分が、やせ衰えた身体を押して、足を洗う湯と手ぬぐい、そしてたらいを用意しようとしているのである。


十兵衛:「お、親分やめて下さい」
GM/長吉:「いや、やらせてくれ。これくらいしかしてやれることがねえんだ」
ゆず:わああ…泣けてくるなあ。
十兵衛:これは……。親分の好意を無駄にできない。湯をもらおう。
GM/長吉: 「もうろくはしたかァねえもんだな」と彼は呟きます。「病なんざかかったことは無かったんだが、あっという間にこのざまよ」もう骨と皮ばかりといった風情です。
十兵衛:肺病かなにかかな?
GM: 目立ったはっきりとした病気と言うよりも体力・生命力といったものが失われている。そんな感じです。彼は、傍らにある布をかぶせたお膳を示します。「若え衆が持ってきてくれるんだが、ここしばらくものを口に中に入れることもできやしねえんだ」
十兵衛:「そいつはいけねえ、無理してでも食わねえと力になりませんぜ」
GM/長吉: 「だめなのさ、匂いを嗅ぐだけで胸がつかえやがる。せっかくの客人だってのになんのもてなしもできやしないが、その飯には手を付けてねえ。どうか、それだけでも食っていってくれ。腹ぁ減ってンだろう」
飯縄坊:これはもう、食べないと失礼って話だよな。
源八郎:冷えた飯が、妙にしょっぱくあったけえ、って感じだ。
十兵衛:冷や飯をかみしめながら、親分の話を聞こう。

 長吉は十兵衛を鬼無の宿に呼んだわけを話し始めた。
 彼はこの病で無理を悟り、跡目を自分の養子、虎太郎に譲った。しかし、その折にはすでに気力も失っており、跡目を譲る義理ごとや手回し、なによりもこれまで一家を支えていた代貸、赤松の半次への説得と言ったことがすべて後手後手に回ってしまったのだという。
 そうこうするうちに跡目を譲った虎太郎と半次との間で諍いが起こり、組を分かつ始末となってしまった。


GM/長吉: 「虎太郎はこっちに顔も出すし、世話もしてくれてるが半次とのことについちゃ耳を貸そうとはしねぇ。
 若え衆も多くが半次のところに行っちまった。おかげで虎太郎の周りには仁義も心得ない、ただの食い詰めモンや無頼が集っちまってるらしい。
 おかげで鬼無の宿は大変なことになっちまった。昼日中からしょっちゅう刃傷沙汰の喧嘩だ。
十兵衛:効きながら眉をひそめ「それで、あっしに何をしろと?」
GM/長吉:「この俺の最後の願いと思って聞いてくれ」
十兵衛:……。
GM/長吉: 「おれはもう、虎太郎に譲った竹里一家の跡目なんざ、どうでもいいんだ。だが、このままだと、おれたちが守ってきた鬼無の宿が本当にメチャクチャになっちまう。虎太郎のところに行ってこの争いを止めてくれ」
十兵衛:「親分さん」
GM/長吉:「うん?」
十兵衛: 「そいつがどういうことか、わかってらっしゃるんですかい?」つまり、場合によっては酷い血を見ることになる。そう言外に匂わせる。
源八郎:基本、荒事で片付けることになるものなあ。
GM: 長吉は言葉を続けます。「ああ、わかってる。けどな十兵衛よ。もう、カタギの衆には非道い迷惑をかけちまってるんだ。冬のこの時期だってのに、この喧嘩のせいで織物市が開けねえんだよ」
飯縄坊:むう、それはよくないな。
GM: はい、宿場町の収入も無くなるし、冬の間の稼ぎにしようとしていた百姓のおかみさんたちの収入も無くなってしまう。買い付けに来た連中も無駄足で帰ることになってしまう。
十兵衛:「冬が越せなくなる、そんな方も出るでしょうな」
ゆず:そうなる前に片付けなきゃいけないのね。
十兵衛: 「わかりやした。虎太郎さんとじかに話を付けやしょう」と、三度笠をかぶり、合羽をひるがえして立ち上がる。

 外へ出ようとする十兵衛に長吉は、まるで自分に問いかけるように呟いた。
「十兵衛よう、虎太郎のやつを養子に迎えた時。俺の目は間違ってなかったと思うんだ。……虎太郎は、ちょっとばかりやんちゃもしたが。あんなに乱暴なことをするようなヤツじゃなかったし、カタギの衆をないがしろにするようなヤツでもなかった」
 十兵衛は老博徒のその問いに、やはり独り言のように答えた。
「親分さん。誰にだって魔が差すってことはありやすぜ。もうちょっと自分の目と、自分の息子を信じてやっておくんなさい」


GM: ではここで、十兵衛には宿星(*60):「二つの一家の争いを止める」を差し上げます。


オープニング02 荒廃の宿場 ――シーンプレイヤー:ゆず

GM:
このシーンも基本的にシーンプレイヤーだけで進ませて下さい。
ゆず:はーい。
GM: 先ほどの十兵衛が鬼無の宿に入ったのは夕暮れ前ですが、ゆずはそこからしばらくさかのぼりその日の昼くらいに、ここにやってきます。カラッと晴れた空の下を爺とともに、いつも通りのお忍びですね。
ゆず:「んー! 気持ちいい♪」
GM:今回訪れる鬼無の宿では絹織物の市が立つと聞いています。
ゆず:なら、その市を見てみようと思ってお城を出たんですね。
GM/爺: 「そう言うことでございましたなら、社会見学の一環にもなります。よろしいのではないでしょうか」とお供についてきます。
ゆず:もう宿場町についても良いのかしら?
GM: はい。道中はつつがなく。ところがですね、鬼無の宿の入り口当たりで違和感が。人が、全然いないんですよ。
ゆず:「に、にぎやかな町なのよね?」と爺に尋ねてみます。
源八郎/爺: 「蘭学で言うところのゴーストタウンでございますな」(爆笑)
ゆず: うーん、がらんとしているとはいえ、いないなりに街道を歩いて、きょろきょろ周り見てみますけど?

 もとより鬼無の宿は街道ぞいの宿場町。
 道をはさんで宿屋や店が並んでいるものの、どれもみな雨戸を閉めきり、静まりかえる。
 二階の窓から二人をのぞき見る視線を感じるも、そちらを見れば怯えるようにぴしゃり、と障子をとじる。
 土埃舞う道を空っ風が抜けて行く。
 と、その道の真ん中を一匹の野良犬が歩いてきた。


ゆず:あ、ではしゃがんで「おいでおいで」ってしてみます。
GM: と。爺がゆずをそっと制します。「まちなされ、姫様。あの犬何かくわえております」と。
ゆず:じゃあ良く見てみますよ?
GM:ええ、人の手首をくわえています。
ゆず:きゃああああ!
飯縄坊:うわ!
十兵衛:むう!
源八郎: ははははッ!

 それぞれに衝撃を受ける一行。
 荒廃、これに窮まれりと言った案配である。

GM:僕、『用心棒』 (*61)のこのシーンが大好きなんですよ(笑)
源八郎飯縄坊:わかるわかる(うんうん)
源八郎:荒れ果ててる、ってのが一発でわかるんだよね。
ゆず:さすがに驚いて目を白黒させてますっ!
GM: と、その声を聞くや、宿場町の真ん中、辻の角にある一膳飯屋の扉ががらっと開き、縞の着物にたすきがけした、おでこの可愛い娘がだだだだッと駆け寄ってきます。
ゆず:「な、なに?」
GM/お律: 「旅の人? なにもしらないんなら、急いでこっちへ!」と、手を引いて店へと連れ込みます。
ゆず:「あわわわ」と連れ込まれる。
GM: 入ったとたん、中に居た飯炊きの爺さんが戸を閉めて、つっかい棒を渡します。「危なかったなあ、お嬢ちゃんたち、でいりに巻き込まれるかも知れなかったんだぜ」
飯縄坊:おおお!
源八郎:盛り上がってきたなァ。
十兵衛:日常的にでいりがあるのか(笑)
ゆず:「そんな物騒な」
GM: 「物騒なもなにも、本当にそうなんだから仕方ないじゃない!」とお律は答え、鍋を頭にかぶります。で、飯炊きの辰爺さんは机を入り口に立てかけてバリケードにし、そして竹槍を……。
全員:『ええええッ?!』
GM/お律: (真剣な声で)「ごめんね、うちには鍋は一個しかないの。流れ弾が来たら伏せるのよ」
全員:『流れ弾ッ!』
飯縄坊:そんなものまで出してくるのか!
源八郎:それはもう、お上を呼ぶべきじゃないのか(笑)もう戦だぞ、これ。
ゆず: も、もうさっきから「はあ!?」とか「ええっ!」とかしか言ってない(笑)「一体何がどうなってこんな物騒なことになってんの?」
GM/お律: 「宿場町を仕切ってた親分がいたんだけど、耄碌しちゃって跡目のことをなにも片付けないで隠居しちゃったのよ」と先ほどの長吉の件を宿場町の視点から説明してくれます。
ゆず: 「で、そのあげくの喧嘩でこんな大変なことになってるのね?」とお律のかぶった鍋を「カーン」と叩く(笑)
GM/お律: 「大変なんてモンじゃないわよ……。今この宿場町で一番儲かってるのはどこだかわかる?」
ゆず:「なぁに?」
GM/お律:「坊主と桶屋よ」(一同爆笑)
源八郎:宿場町に着くとまず桶屋が来て身体の大きさはかってゆくんだな(笑)
十兵衛:「なんだ、ずいぶんとでけえな。特注だぞ」とか。
ゆず: 宿場町の寂れ具合、住人の警戒具合、そしてさっきの手首を思い出し……さすがにこれはどうにかしないとなぁ。
GM/お律: で、これは天下人のゆずなら当然知ってることなのですが、そもそもこの宿場町の大親分である長吉はお上から治安を維持するために十手を預かってるはずなんですね。で、彼が隠居したってことは代わりに十手を預かっている人間もいるハズなんです。
ゆず:「今はその十手は、誰が預かってるの」
GM/お律: 「番屋にいる番作っていうコウモリみたいな野郎よ、自分がどっちにつくか決めらんなくてどっちにもいい顔しているだけの役立たずなんだから! そのくせ十手を笠に着てうちでただ飯ただ酒かッくらってさ」
ゆず: む、「それは許せないわね。十手預かってるってことはみんなを守る責任がある立場なんだから!」
GM:すると辰爺さんが言うわけですよ。「お上なんざあてになりゃしねえよ」と。
ゆず:(きっぱりと)「そんなことないわ!」
GM/爺:(こっそりと)「ひ、姫様あまり興奮なさいますと」
ゆず: 「だってゆるせないじゃない!」と立ち上がる「いいわ、わかった。私がナントカしてあげる!」(握り拳っ!)
GM: 二人はゆずを見てぽかーんとして「と、とりあえず。腹にもの入れて落ち着いたらどうだ」と。
ゆず:「うん、わかった!まずはお腹いっぱいにするわ。ご飯ちょうだい!」
全員:『食うのかよ!』
十兵衛:さすが天下人、肝っ玉が太い(笑)
ゆず: で、麦飯とおこうこもぐもぐしながら、戸口から町の様子を覗いてます。「どんなことになるか、見極めてやろうじゃないの!」
GM:では、ここで宿星「鬼無の里の治安を回復する」を差し上げます。

オープニング03 任侠の徒、壮士を知る ――シーンプレイヤー:弓張源八郎

GM:で、次のシーンは源八郎の導入なんですが……。
源八郎:よしきた!
GM: ハンドアウトには「困っているところを半次に助けられた」って書いたんだけど、鎮西八郎為朝が困ってるところがあまり想像つかない(笑) どうしましょう?
源八郎: いや、こういうのはどうだろう? 歩いていると街道のところに古ぼけたお地蔵さんがあるんだが、それを見たところ、黄泉還りである源八郎は動けなくなってしまうんだよ。「ど、どうしたことだ」と
飯縄坊:おお!
源八郎: 徳の高い坊さんの作った仏像とか、神聖な社とかに言ってしまうと動きが制限されてしまうんだろう。「むぅ、しまったな。うごけん」と地蔵の前に座り込み、お供えの団子を食いつつ「どうしたものかのう」と困っている。
十兵衛:困ってるように見えないよそれ!
飯縄坊:むしろ、団子食ってヒドイ目にあうとか?
源八郎: 「む! この団子少し酸っぱいと思ったら……! うおおおお、死ぬッ! 腹がッ、これはいわゆる蘭学で言うところのDie!」(全員爆笑)
GM:ナニもかもが間違ってるッ! Dieは英語だッ!(*62)
ゆず:黄泉還りが拾い食いして腹壊さないでよっ!
源八郎:ああっ、幻聴が聞こえて来た「ねえ、死人は死んだらどこへ行くの」
GM:知るかッ!
飯縄坊:デザイナーからマジレスすると、元いた魔界に戻ります。
ゆず:(悶絶中)
源八郎:「だ、誰か、早く助けて! Dying なう」
GM: そ、そこに行き会った赤松の半次が、印篭から食あたりの……。む、無理があるような気がしますっ!
十兵衛:いや、これはダメだろう(笑)
源八郎:うん、これはよそう(笑)

「よそうか」
「うむ、よそう」
 そう言うことになった。

GM: 気を取り直して、源八郎が難儀しているところに、旅姿の半次が通りかかるところから、再開です!
源八郎: 「すまねえ、そこの旅の方。そこの地蔵さんをちょいと動かしてくれねえか。そいつが俺の上にのしかかってたまらんのだ」もちろん、半次からするとそんな風には見えない。
GM:「あ、あんた何を変なことを?」と言うのですが、源八郎の顔を見れば真剣。
源八郎: 「まあ見てくれ」と俺が立ち上がろうとすると、背中に大きな手で押さえつけられているような痕が浮かび上がる。それは地面にもはっきりと見えてくる。
GM: 半次はその風景に驚きはしますが、彼とてひとかどの侠客、肝っ玉は据わっております。「心得た」といってその地蔵に手をあわせたあと、どかしてくれます。
源八郎: 「いや、助かった。御仏の力というのも大したもんじゃなあ。ただの石の塊かと思うておったが。よもやこのように効き目があると身を以て知ろうとは。いや、参った」
GM: 一方、半次はあなたが食べかけた団子を見て、「そのようなものを食べたので、地蔵様の罰が当たったんでございましょう。腹が減っておられるなら、うちにおいでなせえ。若え衆を抱えておりますので、食うものはございます」と答えます。見れば、苦み走ったいい男で、酸いも甘いも噛み分けた大人といった風情。
源八郎:「おお! そいつは良いな」と立ち上がる。
GM:するとその身長に、さしもの半次も驚きます。「なんと、これは!?」
源八郎: 『大きい男であった。首が大きい、胸が大きい、腕が大きい。山の巌をごろりと、その場に放り出したような男であった』と夢枕獏(*63)風に描写しよう。
GM: 『その顔は厳つく、美形というわけではないが、この男の笑った顔を見て見たい、そう思わせる顔だった』って感じですね。半次は爽やかに笑って言います「あんたと話すと首が疲れるなあ」と。
源八郎:「お前と話すと地べたを見るのが得意になりそうだ」
十兵衛:『そして旅人二人の間に爽やかな風が吹いた』だな。
GM: というわけで、源八郎は半次のところの食客になりました、これが十兵衛のやってくる一週間くらい前です。で、その男っぷりに半次のみならず、赤松一家の若え衆も心酔してしまう、そんな感じです。
源八郎: 飯を食う、酒を飲む、それだけでも並外れていて、見るものを引きつけずにはいられない。
GM:「いやいや、大した方でござんすね」と半次。
源八郎: 「いいや、大したヤツというのはお前のことだ。難儀していた俺を助けてくれた。お前の前にも何人か声をかけたが、あの有様を見たらみんな逃げ出しおった」
GM/半次: 「そりゃそうでございやしょう。あっしだってこうした荒くれを世話してるから、どうにかといったところ」
源八郎: 「ところで聞きたいことがある。こんな女をしらんか」とあの娘の絵姿を見せる。
GM/半次: 「尋ね人で? 変った身なり、髷でございやすね……。こんな姿の女はここらじゃあまり見ません」と応えます。琉球の姿はたぶんこの人たちにとっては異国のものと移るんじゃないかと。
源八郎:「そうか、また別を探さねばなあ」
GM/半次: 「そう言うことでしたら……」と彼は、草鞋や旅装などを整えてくれます。「生憎と物いりで、間に合わせしかございませんが」
源八郎: 「いや、まだおぬしの恩義に応えておらん。この縁側でいい、しばらくいさせてくれ」
GM: で、やがて喧嘩の話が流れてくるわけですが、シーンとしてはここで一端切らせて下さい。源八郎には宿星「半次への恩義に応える」を差し上げます。

オープニング04 やくざ坊主、転がり込む ――シーンプレイヤー:飯縄坊紫電

GM: では最後、お待たせしました。飯縄坊です。修羅之蝦蟇の後を追って、鬼無の宿にたどり着くわけですが……。見ての通り、町は蘭学で言うところのゴーストタウンで戸は閉め切られ、犬が人の手首を囓ってて、耳に聞こえてくるのは、桶屋がたがをはめる木槌の音ばかり。
飯縄坊:「これは、金のないところに来ちまったなあ、どうも」
GM: するとですね、どうも戸の影から飯縄坊を見ていたようで、桶屋の老人ががらっと戸を開けて、飯縄坊に駆け寄ってきます。「あんた、坊主かい!?」
飯縄坊: 「は、いかにも。拙僧は高野山の方より参った(一同吹き出す)飯縄坊紫電と申します」ともったいぶった口調で。
GM/桶屋: 「助かったッ! あんた、葬式のお経上げられるよな! 坊主だもんな!」
ゆず:そういえば、この町でいま数少ない儲かってるしごとですもんねえ。
GM/桶屋: 「弔いに比べて坊主が足りねえんだよ。おろくばっか増えて、桶の数だって足りないってんだ。何人かは漬け物樽のなかに放り込んである」
飯縄坊: なるほど、何か起こってるんだな。「手伝ってやるから詳しいことを聞かせてくれ」と言いましょう。
GM: 「おうよ」と言うわけで、桶屋のおろく爺さんは飯縄坊を案内するわけですが、その桶屋がどこにあるかってーと、お律っちゃんの一膳飯屋の隣。
源八郎:飯屋の隣で早桶かよ!
GM: いや、これも『用心棒』リスペクト。それはそれとして、彼は言いますね「よーし、坊主が来てくれたとなりゃ、ここでおろくを桶に入れて、すぐさまお経上げて墓場に持ってける。手間が少なくって良いじゃねえか」ビジネスチャンス到来(笑)
飯縄坊: 「お、おう」と応えつつ、「ところで、爺さんよ。この辺で蝦蟇の化け物が出るって話は知らないか?」
GM/おろく: 「ああん? 蝦蟇の化け物だ? 来る場所間違ってンじゃあないのか。蝦蟇が出るのは筑波の山だろ、ここは上州だぞ……。聞いた話じゃ、せいぜいこないだ井戸を浚ったときに子供の頭ぐらいある蝦蟇が出てきたってことくらいだ」
十兵衛:子供の頭って、それはそれで結構デカイよな。
GM: で、それを聞いたとたんに、飯縄坊はぞくりと悪寒を感じます。確かに目に見える証拠はありませんが、この近くに、ヤツはいますね。
飯縄坊: むぅ、まだおおぴらには出てないのか。と思いつつも、良い機会なのでここで路銀を稼ぎ、情報を集めるとしよう。
GM: というわけで、宿星「修羅之蝦蟇を突き止める」を差し上げます。オープニングフェイズはこれで終わりましたので、いったんここで休憩入れましょうね!
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コラム:休憩について
 通常のセッションでも同様だろうが、人間の集中力は決して長く持たない。
 まして、オンライン・セッションとしてパソコンの前に同じ姿勢で長くいれば、疲労はたまってゆく。たとえ、セッション自体がとても楽しく、疲れなど微塵も感じていなくても、それは自分が気が付いていないだけなのだ。
 なので、きりのいいところで休憩をとることを、普段よりも意識して行なうようにしよう。トイレに行ったり、外に行って深呼吸したり。軽く身体を動かしたり、スナックを補充したり。色々することはあるはずだ。
 休憩を言い出すタイミングを一番良く判断できるのはGMだろう。全体の進行度合いを見て判断できるからだ。もちろん、プレイヤー達から申請するのも良いだろう。何しろ、仲間はキミの顔色を見ることができないのだ。休憩したい、そう思ったら言わないと伝わらないということを忘れてはいけない。

ミドルフェイズ  
ミドル01 無頼の中に立つ男一人 ――シーンプレイヤー:十兵衛

 虎太郎一家がたむろする、そこはかつての竹里一家の屋敷だった。
 往時は、博労や人足が長吉や半次の差配に従い、大いに鬼無の宿を栄えさせていた。
 広い間口のなか、荒々しいが心地よい喧噪があった。
 だが、今は変ってしまっていた。
 晒しを巻いて両肌を脱ぎ、これ見よがしに刺青を晒す者。
 伊達のつもりか派手な女物をだらしなく着流し、長脇差を落とし差しにした者。
 十兵衛は、そんな一家の軒先に立ったのだった。


十兵衛:親分の頼みもある。仕方ない。軒先三寸借りて仁義を切りましょう。
GM: 店先の、半端者達は怪訝そうな顔をしますが、奥から来た若え衆はそれとわかったようで、腰を落とし仁義を受けます。で、どうします?
十兵衛: ここは隠しだてせずにいく。「長吉親分さんから、虎太郎さんのお力になってやってくれと申しつかりました。隼の十兵衛というけちな無宿人にございます」
GM:と、その言葉を聞くと、たむろしていた無頼がざわめきます。
ゆず/無頼:「隼の十兵衛だって!」
GM: 「十人がかりで斬りかかっても、一人として刃をかすらせることもできなかったって言うぜ!」
源八郎/若え衆:「その動きはまさしく飛ぶ燕、いや隼!」
十兵衛:まあ、ファンブらないかぎりだいたい避けるしね(笑)
GM: と騒いでいるところに、奥から「どうしたい、騒がしいじゃねえか」と男が出てきます。その男。無理矢理貫禄ある風を装っていますが、十兵衛の目には明らかに貫目が足りてません。虎太郎です。
十兵衛:「お久しぶりでございます」
GM/虎太郎: 「十兵衛さんじゃないですか! 来てくれたとはありがてえ。こいつは百人力だ!」
十兵衛: 「まっておくんなさい、虎太郎の兄貴、……いや、いまは虎太郎の親分でしたね。百人力と仰いましたが、確かに長吉親分には力になってくれと頼まれました。ですが、少し事情が飲み込めちゃあおりません。良ければ、そのあたり、とっくりと話しちゃくれませんか」
GM/虎太郎: 「おう、なら中に上がってくれ」と、長吉のところとは違い若え衆が足を洗うタライを持ってきちゃいますが……。いいですか?
十兵衛:うーん、草鞋を脱いだ時点で、『力は貸すよ』って言う意味なんだよなあ。
ゆず:そうなんですか?
十兵衛: 『草鞋を脱ぐ』ってのはそこのヤクザに顔を通して、寝泊まりさせてもらったり、世話を焼いてもらう代わりにこちらも力になるって言う契約のようなものなんだよね。
ゆず:へぇー。すごいルールの多い世界なんですねえ。
十兵衛:めっちゃめんどくさいぞ渡世人。武士の比じゃない(笑)
ゆず:社会からドロップアウトしたはずなのに。
十兵衛:自由に生きるってのは、制約がスゴイ多いんですよ。
源八郎:それができないなら、草鞋を脱がずにのたれ死ぬほかない。
GM:食事の作法や寝るときの作法も厳しいですよね。
十兵衛:バカは渡世人になれない。まあ、助力することにはなってるんだ。上がろう。
GM/虎太郎: では、長火鉢の傍らに招かれ、お膳が運ばれ、虎太郎がいきさつを話します。
彼の言葉によるならば、親の長吉が彼に跡目を継がせたのに、それをよしとしない代貸しの半次が、一家を離れた。そして、親父の恩を忘れた連中が半次の元に行ってしまった。と言うことのようです。
十兵衛: ちらちらと周りの連中を見つつ、「長吉親分の時の顔ぶれとはだいぶ、かわっているようですが」
GM/虎太郎: 「しかたねえじゃないか、向こうに半分かそこら行ったとは言え、シマは守らなきゃならねえんだ」
十兵衛:ずいぶんと負けフラグだなあ……。
GM: ただですね、ここで十兵衛の渡世人としての記憶がちょっとした違和感を覚えます。「こいつ、こんなやつだったかなあ、と」
十兵衛:もっとまっとうな人間だった?
GM: はい、お調子者のところはあったけれど、親や兄貴分の言うことは良く聞いたし、陽気で若え衆にも好かれるたちでした。相応の貫目がついたらいっぱしの博徒になれるだろう、そのあたりは間違いなかった。
ゆず:ふんふん。
十兵衛:それが、こんなふうにか(考)
GM: それと、顔色がすごく悪い。土気色です。にもかかわらず精気があるというか、エネルギッシュというか。この違和感は英傑としての勘にひっかかります。
十兵衛:「あんたの力にはなりやしょう、ただ……」
GM/虎太郎:「ただ?」
十兵衛: 「長吉親分の頼みで、長吉親分の息子であるあんたを見込んで力を貸すんでございます。そこだけは忘れないでくだせえ。あんたや長吉親分ならキッチリと筋を通してくれる、そこは間違いないと思ってよろしいんですね」
GM/虎太郎: 「仁義の筋を違えるような真似はしねえ! 親子の筋を違えたのは赤松のヤツだ」
十兵衛:「わかりやした、そう仰るなら。あたしも力を貸しやしょう」
GM: といったところで、表が騒がしくなってきます。昼の小競り合いが、どうも刃物を抜いての争いになり、若え衆の何人かが戸板で担ぎ込まれてきました。
ゆず:ああ、始まっちゃうんだ。
源八郎:でいりだな。
GM: 皆が長脇差を握ります。「ありがてえことに助っ人も来てくれた、ここでカタを付けるぜ!」ではここで、シーンを切って源八郎と半次の方に。

ミドル02 誓いの月見酒 ――シーンプレイヤー:源八郎

「半次よ、気の進まねえ喧嘩ってのはしない方がいい。喧嘩ってのは楽しいモンだ」
 縁側から、源八郎が告げる。
 その声を背で受けた半次は、ぽつりと呟いた
「降りかかる火の粉って、ヤツですかねえ」
 居並ぶ手下の顔には緊張の色が濃い。
 張り詰めた糸が、今しもちぎれようとしていた。
 望まぬ争いとは言え、避けられはしないようだった。


GM: 半次は苦く笑って「義理の弟みたいなヤツでした。けれど、……人なんてのはやっぱり、自分の子の方が可愛いんでしょうかねえ」と呟きます。そして、神棚に手を合せると、手下に準備をさせます。
飯縄坊:さあ、はじまるか。
GM: 「源八郎さん、飯も喰わしたがあんたは博徒ってわけでもねえ。俺が気に入って連れてきた、ただそれだけの人だ。
見たところ、御武家さんなんでございましょう。こんな喧嘩なんかに首を突っ込まなくていいんですぜ」みれば、路銀と草鞋、手ぬぐいがそこに用意してあります。
源八郎:……ふむ。ならば。

 源八郎は、それまで飲んでいた酒の徳利を軽く振った。
 中には半分ほど残っているのか、チャプチャプと音がする。
 源八郎はそれに蓋をして縁側に置いた。そして暮れかけの空を見上げた。
「今日はどうも、いい月が見られそうだ。……今晩はここで、二人揃って月見酒を酌み交わそうじゃないか」


GM: その言葉を聞き、源八郎の真意を悟ると、半次の眉間にあった険がふうっ、と雪解けのように消えてゆきます。そして彼は頭を下げて言います「付合わせて、頂きやす」と。
ゆず:……いいなあ。
十兵衛:男たちの爽やかな友情、って感じだ(笑)
源八郎: 「なあに、弟分の少々のやんちゃだったら、一発二発殴ればそれで心も入れ替わるだろうよ。いくさってわけじゃないんだ」

ミドル03 慌て者、大いに狼狽する ――シーンプレイヤー:飯縄坊紫電

GM: というわけで、ここからはでいり前、緊張走る鬼無の宿のあちこちをそれぞれの視点でやってきましょう。まずは飯縄坊紫電、あなたのいるおろく爺さんの桶屋ですが、夕暮れ時になるとあちこちから「赤松に何人」、「虎太郎のところに助太刀」なんて具合に情報が集ってきます。「助太刀の腕がわからねえといくつ(早桶を)用意したらいいのかわかりゃしねえな」と。
飯縄坊:なら、俺はバカの顔をして「ん、なんですか、夜這いの話ですか」(笑)
GM/おろく:「バカ言うない、死人の数をみつくろっってんだよ」
飯縄坊:  「えっ!」と顔が真っ青になって。「し、死人。死人が出るんですか。そんな縁起でもない」(ガタガタ)
GM/おろく:「出るねえ、こっから先は稼ぎ時だぜ、お互いに」と不敵に笑います。
飯縄坊:「え、だってその、ここ、死人とかでたら……出るン?」と逃げ腰で(笑)
GM/おろく: 「そりゃまあ、坊様だったら殺生ごとなんざは御法度だろうけど、人死にが無かったらそっちもおまんまの食いっぱぐれるだろう。今日は出るぜえ、赤松と虎太郎の大でいりだからなあ」と
飯縄坊:「はァ、でいり……」と、これまたぼんやりした感じで(笑)
GM/おろく: 「赤松一家のところにはなんでも身の丈一丈はあるっていう大男で、身体は毛むくじゃらで、真っ赤で鬼のようなヤツが助っ人に来たって言うし、虎太郎一家の助っ人は、隼って呼ばれている侠客で、長脇差を一振りするだけで五、六つと首が飛ぶらしい。こりゃあ、すげえことになるぞぉ」
飯縄坊: 隼ァ!? (おそるおそる)も、もしかしてそれは旦那のことか……? それに大男ってのはもしかして」と思い当たる。
十兵衛:そうそう(笑)
飯縄坊: 「な、なあ、じいさん(おずおずと)。赤松のところの大男ってのは、左手の方が右手より長いとか?」
GM/おろく:「(きょとんとして)なんで知ってンだよ?」
飯縄坊: 「……や、やべェ」俺の知ってるあの二人がやり合うンに巻き込まれたら、ただじゃあすまねえ……「む、むむ。拙僧に考えがある。その前にちょっとはばかりに行ってくる」。
 よし、逃げよう(爆笑)
ゆず:ちょっとちょっと!
飯縄坊:「冗談じゃねえ、こんなところにいたら命がいくらあっても足りやしねェ」
十兵衛: では「また、何か妙なことに頭つっこんでんのか?」と登場判定(*64)して出てこよう。
飯縄坊:「あーッ! いるーっ!」(全員爆笑)
ゆず:逃げられない(笑)
十兵衛:「まったく名前通りにどこにでも現れる奴だな、お前は」
飯縄坊: (しどろもどろで)「い、だ、ああ、あ、その。ダンナ、なんでダンナがこんなところに」
十兵衛: 「そいつは、こっちのセリフだぜ、まったく」と応えて。「世話になった親分さんに頼まれてな、渡世の義理よ」
飯縄坊: 「へェ、そうなんですか。イやね、あっしの方はアレでございましてね、どうも。あのォ、こないだ信州の山ン中に行きましたら、蝦蟇のでけえ化け物が死にかかってたんで、上から石を投げてとどめを刺そうとしたン。けど、刺し切れなかッたんで追ってきまして、この辺にいるんじゃないかと思いまして……。ダンナは見ませんでした?」ついでに俺の代わりに前衛に立ってくれると嬉しいんですが(笑)
ゆず:またメタな会話を(笑)
十兵衛: 「蝦蟇の方はこれと言って知らねえな。でもまぁ、これからここで大でいりが始まる、血なまぐさいことに……」と言おうとして、「飯縄ァ、お前何か知ってやがるな?」
飯縄坊: 「え、あ、いや、だからね? ここに妖異がいる、わけ、ですよ。すごい、この、体長は1キロメーターを越え、アメリカ産ゴジラ(*65)を主食にしている(全員笑)」
GM:あるかッ!
源八郎:そもそも主食にされるくらいにエメリッヒ・ゴジラがいるのかと。
十兵衛:でも、しょせんマグロ食ってるようなヤツ(*66)だからナァ。
飯縄坊:「で。通りがかりの英傑の人が、そいつを自爆して倒そうとして」
十兵衛:「テメエも英傑だろうが!」(全員爆笑)
飯縄坊:「あ、あたしも頑張ったんですよ、遮蔽を取ったり、上から石投げたり」
源八郎十兵衛ゆず: 『このゲームに遮蔽なんてルールはねえ!』(*67)
飯縄坊: 「いやですね、そこはプレイヤーの機転に応えて修正付けてくれるのがいいGMってヤツで……TRPGは自由な遊び」(爆笑)」
ゆず:メタな会話が止らないよ!
飯縄坊: (気を取り直して)「ともかく、このあたりに妖異がいるのは間違いないんですよ。それはもう、あたしの法力がそう伝えてる。むしろダンナの方こそご存じないんで? 草鞋を脱いで長いんでしょ」
十兵衛: 三度笠の影から眉間に皺を寄せて「妙なことは、ある」といって、虎太郎の様子がおかしく、宿場が不穏な空気を醸し出してることを言おう。
「お前さんはうさんくさい山師だが、妖異がらみで金を稼いでる以上、妖異に関する嗅覚だけは信用してる」
ゆず: じゃあ、「妖異ですって!」と、桶屋の戸をがらっと開けて登場。登場判定には成功!
飯縄坊十兵衛:『うわ!』
十兵衛:(ゆずに向って)「ん、どっかで見た顔だな」
ゆず:「十兵衛、またそんなこと言ってるの!」とここは怒る(笑)
十兵衛:「あー、そうだそうだ、確か桃だったか」
ゆず: 「“ゆず”よっ! 人の名前を間違えるなって教わらなかったのかしら! ……ところでこちらは?」
飯縄坊:(厳かな声で)「拙僧は、紫電坊飯縄。高野山の方から参りました」
十兵衛:「飯縄坊紫電じゃなかったのか?」(笑)
飯縄坊:「御仏の前には名前など小さなことです」(一同爆笑)
ゆず:「どっちなのよ!?」
十兵衛: 「まァ、こいつは妖異退治の専門家ってヤツだ。こいつが言うには、この宿場に妖異の気配を感じたって言うのさ」
ゆず:「妖異ですって!?」
飯縄坊: 「いかにも、この宿場には“修羅之蝦蟇”という恐るべき妖異が巣くっております。拙僧の密法大元帥明王法によってすでにいくらか傷ついてはおりますが、大変危険です」(ザ・もったいぶった口調)
ゆず:「はー」となんだかよくわからなさそうな顔で聞いてる。
飯縄坊: 「ちなみに、拙僧も大元帥明王法がなんなのかまるで知りません。……なんでしょう?」
ゆず:十兵衛に「……ねえ、この人ホンモノ?」
十兵衛: 「ホンモノって言えばホンモノだし、偽物って言えば偽物だ」ちなみに言うと、大元帥明王法は怨敵呪殺の方法だッ!
飯縄坊:指摘を受けたのでメモしておく(笑)
ゆず: 「そっか、そんなことになってたのね。なら、この荒れ具合も妖異のせいかしら」
十兵衛:「それよりもおみっちゃん」
ゆず:「ゆずだって言ってるでしょー!」
十兵衛:これ、何回間違えられるかがキモやなぁ(笑)。
GM:名前のレパートリーもどんどん厳しくなりますしねえ。
十兵衛: 「まあ、聞いての通りだ。妙なことに首を突っ込んだら、今度こそただじゃすまねえぞ」
ゆず: 「……でも、ここは私のお父様が治める領地なのよ。ここでこんなことが起こってるんだもの」
十兵衛: 「また“姫様”が始まったぜ」といって飯縄坊に、「こいつはな、自分の事をお姫様だって言い張ってるんだ、適当に話を合わせてやってくれ」(笑)
ゆず:「ほんものなのに〜」(じたばた)
飯縄坊:「あ、それで思い出した。源のダンナも来てるんですよ」
ゆず:「え、源さんも?」
十兵衛:「源? 誰だいそいつは」
飯縄坊: 「あれ。前話しませんでしたっけ? 自分のことを鎮西八郎源為朝だって言ってるおもしろい人」
十兵衛:「ハァ……。為朝がいたり、お姫様がいたり大変だなこの宿場も」
GM:  あ、そうですね。十兵衛と源八郎はこれまでも、そして今回もまだ会ってないんですよね。
飯縄坊:「何でもね、源の字の方は……」
十兵衛: (遮って)「こんなところでくだまいている暇はねえ。カタギのお前らをヤクザの喧嘩に巻き込んで怪我をさせるわけにはいかねえ。いいか、とっとと別のところに流れてゆけ。妖異は……お前たちで勝手になんとかしろ」で、俺は源八郎というのが何ものなのか聞かずに退場する。
GM:なるほど。これで対決の時に真っ向からやれますね!
ゆず: じゃあ、十兵衛がいなくなってから飯縄に聞きます「お坊様、なんで源さんはここにきてるの?」
飯縄坊: 「いや、あたしも……拙僧もそこまでは。なんでも、赤松一家に世話になっているということくらいしか」
ゆず:「えええッ! じゃあ十兵衛とやり合うかも知れないじゃない!」
GM:というところでミドルの山場、大でいりです!

ミドル04 鬼無の宿の大でいり、その影に羅刹 ――シーンプレイヤー:全員

 そこは鬼無の宿の真ん中にある辻。
 街道が交差して、一種の広場と言った体をなしている。
 片方からは鉢巻きにたすき掛け、裾をはしょって竹槍を持った赤松一家。正面に立つのは毛皮を羽織った大男。
 もう一方は雑多な姿の無頼達、だがその中に涼やかな趣の男が一人。
 辻の一膳飯屋と桶屋は堅く戸を閉め、中では天狗姫とインチキ僧が固唾を呑んで見守っている。
 籠もる者誰もが、嵐の過ぎ去るのをじっと待っていた。
 やはり、風が吹いていた。


GM:  みなさんこのシーンには登場できますが、まず登場しているのは源八郎と十兵衛です。
十兵衛:長楊枝をくわえ、長脇差を腰に差した渡世人が、ずいと一歩前に出る。
GM:物静かだが、その気迫にいる者が皆、気圧される。
ゆず/無頼:あれが隼の十兵衛か。
飯縄坊/無頼:ざわ……ざわ……。
十兵衛/無頼: 「いやしかし隼の十兵衛といっても、あの大男には、きっとひとたまりもないぜ、寺の仁王さんが動いたのかと思った!」
源八郎:では、こちらは妙に楽しげに一歩前に踏み出して、両肌を脱ぐ。
GM:で、双方が「やっちまえ!」と……。
源八郎:「おう、ちょっと待ってくれねえか」と胴間声で呼掛ける。
GM:ヤクザたちは一瞬、源八郎の声に足を止めます。
源八郎:  「いざ喧嘩になっちまえば、誰が味方やら敵やらわかんなくなってなあ。ぶんなぐりてえ相手と、ちゃんと殴り合えるかもわからねえ。だからよ、今のうちにやりあいたい相手とは一手交えておきたくてな」と、十兵衛の方に目を向ける。
十兵衛:では眼光を鋭く流し「あんたが、赤松さんところの用心棒か」
源八郎:「用心棒ってわけじゃあねえが、恩義がある」
十兵衛: 「お互い渡世の義理ってえ、ことですかい。だったら」と、鯉口を切って「問答は必要ございやせん」
源八郎: 「俺は、お前たちの言う渡世人ってヤツじゃねえんだがな」と苦笑し、ぐっと拳を握りしめて「俺はコイツで勝負するぜ」
十兵衛:「無手、ですかい」
源八郎:「俺の得意は、飛び道具でな。そいつはおまえさん、苦手だろう?」
十兵衛:「出したけりゃ、出して結構」
源八郎: 「いやいや、せっかくの隼を弓で射落としちゃもったいねえ。この手で捕まえてみるのも一興よ」
十兵衛: なら、フッと笑って腰帯から長脇差を外して、地面に置く。「なら、あっしもこれで」
全員:おおおお!
源八郎: 「そうか」といって笑みを浮かべる。その一瞬、博徒も無頼も男が男として見とれてしまうほどの屈託のない笑みであった。
十兵衛: その笑みに感じ入って、俺も編笠をスッと上げて涼やかな笑みを返す。今から殺し合いをしようとしているはずなのに、男と男の間には爽やかな風が吹いているようだった。
源八郎:「これ以上、言葉は必要ないだろうが。せめて名乗りは上げておくかい」

 豪傑は、名乗った。
「俺は鎮西……いや、弓張源八郎」
 剣客は、答えた。
「加州無宿、人呼んで隼の十兵衛と発します」


ゆず:このシーン……格好いいなあ……。
飯縄坊:うん、イケる……!
GM:で、ここはそれぞれに力と技を発揮しますが、なかなか決着がつきません。
源八郎: 俺の拳が唸りを上げて十兵衛を捉えたかと思ったが、十兵衛は巧みにその身を浮かせて衝撃を殺す!
十兵衛: そして、その勢いを駆って中空に舞い、空から鋭い抜き手を放つが巌のような筋肉に阻まれる!
飯縄坊:うわ、夢枕獏空間だ!
GM:  それを見ていた連中も元々荒事好き。闘争心に火がついて、双方派手に喧嘩を始めます、が。

 ここで異常なことが起こり始めた。
 喧嘩とは言いつつも、しょせんは命の取り合い、殺伐は元々。
 それでも博徒、ごろつき達の顔はどうだ。
 まるで、生きながら修羅道へ落ちたかの如く、鬼気迫る表情ではないか。
 そして、空。
 厚く垂れ込めた雲から、なまぐさい風が吹き始めた。
 英傑達は、感じた。
 これは、妖異だ。


ゆず:なんですって!
GM:  狂乱にはやるごろつきどもはやがて、宿場の戸板をはがしたり、軒先を壊したりと単なる暴徒となります。お律、辰爺、そして桶屋のおろくは自分の家を守ろうと必死で戸板を抑えます。だが、その時「火だ! 赤松のところに火を付けちまえ!」、「虎太郎んとこを焼き討ちだ!」という声が!
ゆず: それはもう黙ってられない! 一膳飯屋から飛び出して、持ってたヤカンでごろつきを叩きのめす!
飯縄坊:「ああッ、いけませんお嬢さん。隠れてないと」
ゆず: 「うるさいわね、こんなのだまってられるわけないでしょ! あんた達、火なんて付けていいと思ってるの!」
十兵衛:「何! 宿場町に火を放つだと! 奴ら正気か?!」
源八郎:では十兵衛と対峙しながら「どうも嫌なツラだな」と呟く。
十兵衛:眉をひそめて「同感だ」
源八郎: 「どうにもこいつはおかしい。連中だって宿場の人間だこんなことをするはずがない」GM、源八郎はここで《妖身喝破》(*68)を使う!「おもしろい喧嘩に水を差すんじゃねえ!」これで妖異、妖怪を見破る!
GM:  お見事! その特技なら完璧にわかります。ごろつき、渡世人の中に、妖異にとりつかれてしまっている者、下級羅刹(*69)がいるんです!
飯縄坊:修羅之蝦蟇!? いや、その眷属にとりつかれたな!
GM:  その通り! 見ればその肌には醜いいぼが浮き出し、目は飛び出てぎろりぎろりと辺りをうかがう。怪奇蝦蟇男と化しています!
ゆず:「ついに正体を現したわね! 妖異ども!!」と屋根の上から叫ぶ!
源八郎:と、その声の方を見て「なあんだ。ゆずじゃねえか」
十兵衛:「なんだ、あんたあの自称姫さんと知り合いですかい」
源八郎:「…ん、まあ知らぬ仲じゃない」
十兵衛:「世の中は狭いもんですねえ」
源八郎:「いやいや、アレはアア見えて大したモンだぜ。頼りになる女だ」
飯縄坊: 「だ、ダンナ。源の字。のんきなこと言ってる場合じゃねえ。このままだと宿場町が燃えちまう!」
ゆず: 「そうよッ! 喧嘩なんか、あとになさい」と、男の喧嘩が理解できない女の子のセリフです(笑)
十兵衛:「ひとまず手打ちだ、弓張の」といって長脇差を拾う。
源八郎:「しかたねえな」と拳と拳をぶつけて羅刹たちに向き直る。
飯縄坊:「おお! 源さん。はやく逃げないと火が回る!」
源八郎: 「火など、どういうことはない。それよりも大僧正の念仏であの化け物どもなんとかならんか」
飯縄坊:「へっ」と。俺は逃げるつもりだったんだけど、後にゆずがいるので……・
ゆず:「にこっ」
飯縄坊: (凛々しい声で)「むろんだ。拙僧の法力を持ってすればあのような蝦蟇の化け物など一瞬で……(弱々しくなって)いっしゅんで、なんとかなろう」
十兵衛: 「おお、さすが名高い飯縄坊紫電。かの弘法大師にも匹敵するという法力、いざ見せてもらおう」(棒読み)
ゆず:「たよりにしてるからね!」と屈託無く笑う。
飯縄坊:逃げられねええ(泣)
GM:では、ここで戦闘に入ります!

 鬼無の宿に迫る大混乱。
 修羅之蝦蟇の企みが、巷に惨劇を呼ぼうとする。
 だがしかし、それに立ち向かう英傑もまた、綾なる宿命に導かれ鬼無の宿に集っていたのである。
 果たして、羅刹と化した暴徒を英傑達は打ち負かすことができるのか?
 未だ姿を現さぬ、修羅之蝦蟇の目的は一体?
 天下繚乱RPG『妖廻り無頼帖、鬼無の宿〜修羅之蝦蟇』今宵の語りは、まずはここまで。
 次の幕が開くまで、しばしお待ち頂きたく存じます。
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